全長3.0m以下! トヨタの「“1人乗り”MRスポーツカー」! MT×1.5リッターエンジン搭載の“超コンパクトモデル”「iQ-MR」とは
来る2024年11月5日から8日まで、アメリカでカスタムカーの祭典「SEMAショー2024」が開催予定ですが、2011年に行われた「SEMAショー2011」には、MR(ミッドシップ)仕様の「iQ」が出品されていました。どのようなモデルなのでしょうか。
ミッドシップレイアウトの「超コンパクトカー」
トヨタのマイクロカーとして2008年11月から日本での販売をスタートさせた「iQ」。
一般的な軽自動車よりも短い3mほどの全長ながら4人分の座席を持ち(2シーター仕様も存在)、実用性とコストパフォーマンスが優先されるコンパクトカーとは一線を画す、プレミアムさを持ったモデルとしてリリースされました。
そのため本革シート仕様に加え、のちに趣味性の高い6速MT車の追加や個性的なツートンカラーを設定したり、コンプリートカーとして「GRMN」が設定されたりと、かなり力を入れられていたモデルとなっています。
そんなiQは北米地域では、若年ユーザー向けに立ち上げられた「サイオン」ブランド(現在は廃止)からリリースされており、さまざまなカスタマイズカーが作られました。
2011年のSEMAショーに出展された「Scion iQ-MR」もそんな中の1台でしたが、このモデルの特筆すべき点はその車名にもあるようにMR=ミッドシップ レイアウト・リア ドライブへと改造されていた点です。
本来のiQはフロント エンジン・フロント ドライブのレイアウトを持っていましたが、iQ-MRでは本来のリアシートがある辺りにエンジンを搭載し、リアを駆動する後輪駆動へと一新。
ただホイールベースの短いiQだけに、ミッドシップレイアウトといいながらもほぼリアエンジンに感じる位置にエンジンが鎮座していました。
なお、ミッドシップに搭載されるエンジンは、通常のサイオンiQに搭載される1.3リッターではなく、「サイオンxB(日本名:bB)」に搭載される1.5リッターのものとした上で、ピストンやカムシャフト、ECUなどを変更するチューニングが施されています。
またトランスミッションもサイオンiQには設定されなかったマニュアルトランスミッションとなっており、強化クラッチと軽量フライホイールが組み合わされていました。
足回りはKW製のサスペンションがおごられ、ブレーキはWilwoodの4ポッドキャリパーを装着。タイヤも205/50R15サイズにスープアップされて戦闘力を高めています。
エクステリアはスペシャリティーカーズ社製のボディパネルが装着され、無垢のアルミを思わせるシルバーカラーとなっている程度でそこまで過激さは感じませんが、インテリアは本格的なロールケージが組み込まれ、シートは運転席のみ。
簡素なダッシュボードやセンターコンソールはナスカーの車両を思わせるスパルタンさというギャップも面白いところ。
残念ながらというか当然ながらというか、ミッドシップ版が市販化されることはありませんでした。
しかし、このモデル以外にも多くのカスタマイズカーが生み出されていたiQは、爆発的なヒットモデルにこそなりませんでしたが、コアなファンに愛される名車であることは間違いないでしょう。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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