マツダ「SKYACTIV X」、回してみて見えたものとは? 話題の新エンジン搭載車に試乗

試作車のアクセルを踏み込んでみると…?

 これまでのマツダは「ZoomZoom」のスローガンのもと、やや操舵に対する俊敏な反応に固執する傾向がありました。筆者(山田弘樹:モータージャーナリスト)はこのわかりやすいけれどやや軽薄なハンドリングにはずっと反対派でしたが、今回のハンドリングはドシッとコシが座っています。ハンドリングが落ち着いていても軽快感が出せるのは、ドライバーの思い通りにリニアな応答性が得られるから。これは速度域が上がるほどに必要な要素であり、それでいて車体はドイツ勢のような重たさを感じさせず(重量は未公表)、マツダらしい軽快感が実現されていました。

 特に感心したのは、ダブルレーンチェンジ時のおさまりの良さです。60~70km/h程度の速度において、思い切りハンドルを切っても試作車はパイロンを見事によけることができ、かつ再び切り返して元のレーンに戻った時も、ぴたりとクルマの挙動が収まります。車体には分厚いゴムのようなシッカリ感があり、とてもリアサスペンションが簡素なトーションビーム(サスペンションの形式のひとつ)とは思えませんでした。

 また試作車はブレーキの制御をバイ・ワイヤ(電気信号による制御システム)化していたのですが、これも最後に聞くまでは、まったく意識しませんでした。

試作車の体験試乗の様子(画像:マツダ)

 肝心のエンジンは、6速マニュアルと6段ATの両方を試しました。試作車は隣にエンジニアが同乗し、筆者のアクセラレーションに対して細かくログを取っている状況で、まだそのマッピングも定まっていないようでしたが、今回乗った限りではMTの方が快活で、ATの方がまったりと上質なセッティングでした。

 それを踏まえた上で言うと、その特性は確かに「ディーゼルとガソリンエンジンの融合」です。アクセルを踏み出せば低中速トルクがグーン! と立ち上がり、それがトップエンドの6000rpm以上まできっちり吹け上がって行く様子は、高回転まで吹け上がるディーゼルターボのようでした。

 ただエンジン単体の魅力としては、当日試乗した北米仕様の「MAZDA3」(日本名「アクセラ」)が搭載する「2.0 SKYACTIVE G」(150hp/203Nm)の方が、高回転までスッキリと気持ち良く吹け上がります。そしてトルクだけで言えば、マツダがラインナップする「2.2 SKYACTIV D」の420Nmには、遠く及びません。

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