マツダ「SKYACTIV X」、回してみて見えたものとは? 話題の新エンジン搭載車に試乗

エンジンだけじゃない「次世代技術」

 SKYACTIVスローガンは前述の通り、「シャシー」や「ボディ」、そしてシートといった「操作性」にまで及びました。

 具体的には、これまでバルクヘッド(エンジン室とキャビンの隔壁)、センターピラー(ドアの中柱)、リアハッチまわりに取り入れていた「環状構造」を、ドア開口部やダンパーのアッパーマウント周りにも採用しました(多方向環状構造化)。これによって路面からの入力遅れを30%短縮することができたといいます。

 またサスペンションの稼働方向をダンパーの作動軸ときちんと揃えることで、スムーズにこれが上下するようにしました。聞けば当たり前のことですが、居住性やモジュール機構の事情によって、これが犠牲になることはとても多いのです。

 そしてボディも闇雲にその剛性を高めるのではなく、パネル接合部に「減衰ボンド」や「減衰節」と呼ばれる剛性部材を投入して振動エネルギーを減衰。これによって効率的な剛性アップが可能となりました。

多方向に環状構造化された骨格(画像:マツダ)

 さてこれを実際に乗った印象は、お世辞抜きに「これまでのマツダ車でベスト」といえるものでした。特に印象的だったのは、シャシーの出来映えです。

 今回は、路面の状況が非常に整ったテストコースであり、その乗り心地を過大評価できないのですが(それでもその舗装は、一般路と同じ路面μで設計されているとのことでした)、路面からの細かい入力を減衰する素早さは上質感を生み、操舵に対するじわっとした手応えは、このクラスのベンチマークであるフォルクスワーゲン「ゴルフ」にも引けを取らない質感でした。

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