2025年4月から、エンジンの最高出力を4キロワット以下に制御した総排気量125cc以下の二輪車、いわゆる「新基準原付」を原付免許で運転できるよう法律が改正されます。
　
　では、一体なぜこのような改正をおこなうのでしょうか。

　今のところ、原付免許で運転できるのはエンジンの総排気量が50cc以下のバイクのみであり、総排気量が50ccを超えて125cc以下のバイクは小型限定の普通二輪免許。

　125ccを超えて400cc以下のバイクは普通二輪免許、そして400ccを超えるバイクの運転には大型二輪免許がそれぞれ必要です。

　しかし警察は現在、エンジンの最高出力を現行の原付と同等レベルの4キロワット以下に制御した総排気量125cc以下の二輪車・「新基準原付」を原付免許で運転できるよう関係法令の改正を進めており、この改正法は2025年4月1日から施行される予定です。

　では、一体なぜこのような法改正をおこなうのでしょうか。

　実はこの背景には「新たな排出ガス規制の適用」があります。

　日本は大気環境改善のため自動車の排出ガス規制を導入しており、大気汚染の状況や海外の動向などを踏まえて順次規制を強化しています。

　具体的には一酸化炭素（CO）や窒素酸化物（NOx）などの排出ガス規制が厳しくなっており、2025年11月から原付もクルマと同様、新たな排出ガス規制値の適用が決まっています。

　ここで問題となったのが、総排気量50cc以下の原付では「新たな排出ガス規制値をクリアできない」という点です。

　排出ガスの有害物質を除去するためにはマフラー内部の触媒を約300度の高温にする必要があるものの、総排気量50cc以下だと触媒の温度を上げるのに時間がかかり、効果が出る前に規制値を超えてしまいます。

　さらに規制値をクリアするための技術開発は高コストで採算が取れないことから、ホンダ、ヤマハ、スズキなどのメーカーは総排気量50cc以下の原付の生産から撤退を余儀なくされる状況に。

　その一方、総排気量が125cc以下のバイクであれば触媒の上昇時間が50cc以下の場合と比べて3分の1程度に抑えられ、新たな排出ガス規制値をクリアできます。

　これを受け、バイクメーカーや業界団体からは総排気量125cc以下のバイクであっても最高出力を抑えれば原付とみなされるよう法律の見直しを求める声が上がりました。

　つまり排出ガス規制値をクリアでき、なおかつ原付を利用する多くのユーザーに影響を与えないよう、原付免許で運転できる「新基準原付」という区分を作るに至ったというワケです。

　なお有識者検討会が発表した走行評価によると、新基準原付と現行の原付の運転特性はほぼ同等であり、新基準原付を原付免許で運転できるようにしても問題はないと結論づけられています。

　加えて、一部のモデルではむしろ新基準原付のほうが「安定性がある」「立ち上がりが良い」「制動がよく効く」といった高評価を受けています。

　ただし新基準原付はあくまで原付免許で運転できる乗り物という位置付け上、「最高速度時速30km」や「二段階右折」など、これまでの原付と同じルールが適用されるため、その点は留意したほうが良いでしょう。

　これに対してSNS上では「新基準原付を作るよりも原付の時速30km制限をやめて欲しい」といった声や「最高出力のリミッターを外す違法原付が出てきそう」などの意見が寄せられました。

　今後はSNSで指摘されていた最高出力の制御装置を不正に改造されないための対策や、新基準原付と総排気量125cc以下の一般的なバイクを外見上どのように識別するかなどが課題となります。

　これらの課題に対しては現在、メーカーと関係省庁との間で協議・検討が進められています。

　なお2025年11月からの新排出ガス規制により、

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　今回の法改正は警察庁によるパブリックコメントの募集を経て、2025年4月1日から施行される予定です。

　現段階で各メーカーから新基準原付の具体的なモデルなどは公表されていませんが、デザインや価格帯などの動向に注目が集まっています。