約800万円の「“軽”自動車」!? 「旧車デザイン」&超スポーティ設計採用! “スズキエンジン”×MTでめちゃ楽しそうな「170」とは

シンプルで軽量、無駄な装備を削ぎ落としたスポーツカー「セブン」に、軽自動車版があるのをご存知でしょうか。その名は「セブン160」「セブン170」。エンジンも軽自動車用というのですから驚きです。

スズキ製660ccエンジンを積んだセブン!?

 イギリスのスポーツカーメーカー・ロータスのスポーツカー「セブン」は、それまで販売されていた「マーク6」に代わるモデルとして、1957年に登場しました。 

 1973年に生産を終了するも、サリー州ケータハムにあったロータスのディーラーがロータスから生産設備と製造権を獲得。ケータハムカーズを設立し、セブンの生産を引き継ぎました。余談ながら英国ではケータハム(Caterham)を「ケイタラム」と発音します。

約800万円もする「軽自動車」って何?
約800万円もする「軽自動車」って何?

 以来50年以上にわたり、2シーターオープン・後輪駆動・ロングノーズフォルムで、エンジンはフォードなどの社外品を中心に搭載する、という基本的な成り立ちは不変なまま生産が行われています。

 そんな中、驚きの一報が入ったのは2013年のこと。なんとスズキの軽自動車用ユニットを積んだセブン、その名も「セブン160」が誕生したのです。

 エンジンは「ジムニー」用「K6A」型660cc3気筒ターボで、インタークーラーをケータハム製に変更して最高出力は80psをマーク。しかし日本では、軽自動車に64psの自主規制値が設定されていたため、64ps仕様の「セブン130」が導入されました。

 5速マニュアルトランスミッションもジムニーから流用されたほか、ドライブシャフトや後輪の軸部分(リアアクスル)は同社の軽商用車「エブリイ」を活用。発表当時は、そのアイデアも話題となりました。

 生産はケータハム本社で行われるため、これらのコンポーネンツはコンテナで輸出されていました。

 しかし2014年、輸入車であるケータハムのクルマでは自主規制が必要ないということになり、日本でもセブン160の販売をスタートしました。

160という数字は、最高出力80ps・車重490kgのパワーウェイトレシオが “160”であることに由来します。

 80psという数値は絶対的には低いですが、驚異的に軽い車重には十分以上。0-100km/h加速6.9秒という性能は、スズキの軽スポーツカー「カプチーノ」の9.7秒を大幅に上回るものでした。

 手に余るほどのパワーを得ていた通常のセブンよりも、むしろ「本来のライトウェイトスポーツカーらしい」とも評価されました。

 エンジンのみならず、車体サイズも軽自動車規格の「長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下」に収まっていることもポイントでした。全長は元々のセブンが3.4m以内だったので問題ありませんでしたが、全幅を1.48m以内とするために、フェンダーとタイヤ幅を狭くして対応。軽自動車登録を可能としました。

 そのため装着されるナンバープレートは「黄色」です。価格は394万。同時期に販売されていたセブンが475万円〜777万円だったことを鑑みると、リースナブルと言えました。

 2017年には、「クラムシェルフェンダー」と呼ばれる長いフロントフェンダー、スミス製クロームメーターパネル、モトリタ製ウッドリムステアリングホイールを備えたクラシカルなスタイルが魅力の「セブン160 スプリント」が、さらに同年秋にはエンジンを96psまでチューン、ブルックランズエアロスクリーンやゼッケンサークルなど1960年代レーシングカー的な外観を与えた「セブン160 スーパースプリント」がそれぞれ限定発売されています。

 そして2021年、セブン160の後継モデルとして「セブン170」がデビュー。エンジンを「K6A」型から「R06A型」に換装して、最高出力も85psにアップしています。

 しかも車重440kgの軽量化オプションを選ぶことも可能。ラインナップは2種類で、標準モデルの「170S」と、スポーツサスペンション、LSD、カーボン製ダッシュボード、4点式シートベルト、コンポジットレースシートを備えたサーキット志向の「170R」が用意されています。

 さらに2024年6月には、1970〜80年代風の内外装デザインが与えられた「スーパーセブン600」と、よりクラシック風味をました「スーパーセブン600クラシックエディション」も発売されています。

※ ※ ※

 スポーツカーといえばパワーウォーズに陥りがち。しかしスポーツカーとって大切なのは、パワーでななく「軽さ」や「シンプルさ」であることを教えてくれるのがセブン160/170です。

 2024年9月現在、セブン170Sの価格は約811万円、セブン170Rに至っては839万円。セブン160の中古車はおおむね500〜600万円台で流通しており、安価とは言えませんが、それに見合う価値があるクルマではないかと思います。

【画像】超カッコイイ! これが800万円の「軽自動車」です!画像で見る(28枚)

まさか自分のクルマが… 高級外車のような超高音質にできるとっておきの方法を見る!

画像ギャラリー

Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 知らない人から見れば、信じちゃうような記事内容。ケータハイム7は以前はロ-タス7と言って、1970年頃日本国内でも販売されてましたけどね。エンジンはトヨタ製2T-Gです。ロータスとトヨタの関係が薄れるに従って、販売終了。その後日本はFF車が主流となり、ケータハイム7に搭載エンジンがなかったところに、軽自動車規格に目を付け、今回170Sに繋がった。1950年代のロータスレ-シング仕様です

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー