なぜ左右で「ドアの数」が違う!? めちゃユニークな「1+2」タイプの“ワンツードア”今後も増える? あえて採用するメリットとは
たいていのクルマは左右のドア数は同じですが、なかには左右でドアの数が違うモデルがあります。一体どのようなクルマがあったのでしょうか。
「1+2」のユニークすぎる3枚ドアを持つモデルとは?
多くのクルマは「2ドア」や「4ドア」など、左右のドア数や形状も同じものを採用していますが、なかには左右のドア数が違うモデルがあります。
「ワンツードア」とも呼ばれる、「1+2」という3枚のドアを持つ“左右非対称なクルマ”とは、どのようなモデルなのでしょうか。
ドアが3枚のクルマとして思い出されるのが、1993年に登場したスズキ「ワゴンR」(初代)です。
現在のトールワゴンやスーパーハイトワゴンの礎とも言える軽自動車ですが、誕生からすでに30年以上が経過し、現在は6代目へと進化していますが、初代が登場したときのインパクトは非常に大きいものでした。
それまでの軽自動車は「安かろう悪かろう」というイメージがありましたが、このワゴンRの登場で、地位が一気に向上。
車内の広さを頭上に求めたアイデアや、コスト削減のための部品共用化も、直線基調でありながらどこかボーイッシュなデザインでカバーし、それまで敬遠していた男性ユーザーからも大好評を博しました。
この初代ワゴンRは、右(運転席側)が1枚、左(助手席側)が2枚という左右非対称で登場。
この形式は当時の商用バン(またはワンボックス)では多く採用されてきましたが、ヒンジ式のドアが左右非対称なのは珍しいと言えます。
当時は「コストダウンの影響では?」とうがった見方もされましたが、実際は、後部座席に座った子どもが勝手に車外に出られないということ(路上に停車した場合の車道側)を考慮したためとアナウンスされています。
これと同じく、右1枚、左2枚スタイルを採用したのが、1996年に登場したホンダ「S-MX」です。
「クリエイティブムーバー・シリーズ」として、「オデッセイ」「CR-V」「ステップワゴン」に続くシリーズ第4弾として登場。
初代ステップワゴンのコンポーネンツを活用し、前後のベンチシートはフルフラットにアレンジすることができるなど、「デートカー」としても話題になりました。
そして1+2のドアを持つモデルの代表格といえば、2021年に生産が終了してしまったトヨタ「ポルテ」でしょう。
ポルテとはフランス語で「扉(ドア)」を意味しており、右はヒンジ式ドア、左はヒンジ式ドア+スライドドアという、ユニークなドアを装着しました。
しかもドア開口部にはBピラーレスとなっており、助手席はもちろん後部座席へのアクセスも良好。非常に乗降しやすいのが特徴です。
それでは、これまでにワンツードアのモデルを販売してきた都内の中古車販売店オーナーOさんに、同ジャンルのクルマの人気ぶりなどを聞いてみました。
「初代ワゴンRは左右非対称というより、現在の軽自動車の方向性を決定づけたクルマとして当時は大人気でした。
またS-MXはもう少しファミリー向けの仕様でも良かった気がしますが、斬新なスペシャリティミニバンで人気モデルでした」
ユニークなワンツードアはネガティブな要素になっておらず、逆に後部座席への乗降性が良いと好評だったそうです。
「完成度が高いと今でも高評価されているのが、ポルテです。ピラーレスですが、スライドドアに補強材が仕込まれているなど対策が施されています。
つい最近も、助手席が回転式になっている『ウェルキャブ(介護仕様)』のポルテを納車したばかりです」(中古車販売店オーナーOさん)
ただし、重量バランスなどを含めて左右対象のほうが効率的なことも考えると、今後、新たな1+2のワンツードアのモデルが誕生するかは未知数です。
とはいえ、商用車のバンではこういったドアが一般的でもあることから、乗用車でも乗降性を優先させたユニークなドアのモデルが登場する可能性も完全には否定できないでしょう。
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