調子こいて壁に激突!? なぜ「イキリダッシュ」は多発する? SNSで動画相次ぐ… 事故した人に話を聞いてみた

イキリダッシュするのは高級スポーツカーが多い?

 イキリダッシュをしているクルマの中ではとくに高級スポーツカーが目立っていると言います。

 なぜ高級スポーツカーでのイキリダッシュが多いのでしょうか。

 レース関係のエキスパートであるAさんは以下のように話してくれました。

「イキリダッシュでコントロールできなくなり衝突事故を起こすような人はどんなに高級なスポーツカーに乗っていてもクルマの基本がわかっていない人達です。

 滑り出してからの立て直しも到底無理です。よほどドリフトかラリーでもやり込まないとできません。

 サーキットレースにおいても、立て直さなくて良い進入姿勢を作ってスタートしますから。ラリーは出口で調整、サーキットは入り口で調整します。

 イキらないことが1番ですが、1度はサーキットを体験しクルマの脆さを知ることも大切です。

 サーキットじゃなくてジムカーナで十分なので、止まれない、曲がれないこととスピード域の関係を体験してみることをお勧めします。

 自動車学校ではせいぜい急ブレーキ教えてくれるかどうかですから、普通に生きてたら誰も教えてくれませんから」

いまや走り屋の聖地から…世界的な観光名所になった「大黒PA」 (撮影:加藤博人)
いまや走り屋の聖地から…世界的な観光名所になった「大黒PA」 (撮影:加藤博人)

 またとくに注意すべき高級スポーツカーはあるのでしょうか。前出のAさんは以下のように話しています。

「とくにCUP2などサーキット用タイヤを履いているようなスポーツカーは絶対にイキってはダメです。

 一般的なタイヤは70度位でグリップがなくなりますが、サーキット用タイヤは70度~100度で本領を発揮します。

 なので、その分、温度が低いとグリップしないのです。ブレーキも同様です。

 サーキット用パッドは800度程度まで耐えられる物が多いですが、こちらも逆に低温域では効かなくなります。(なので耐熱パッドは車検に通りません)

 サーキット走行を目的とした911GT3やフェラーリ、マクラーレンなどのスポーツモデルは、もともとタイヤ、ブレーキのパフォーマンス域が温度高めに設定されています。

 低温ではパフォーマンスを発揮できない物がほとんどで『止まらない』『曲がらない』が発生します。

 ウォームアップもしないで大黒PA出口でイキるのは事故って当たり前ですね」

※ ※ ※

 ところで、かつてイキリダッシュで有名になった「辰巳PA」はその後どうなっているのでしょうか。

 事情に詳しい関係者によると、こちらは2023年1月に通称「ジャンプ台」(本来の目的は減速帯)が設置されて以降、イキリダッシュは激減しているとのことでした。

 首都高の違法行為といえば時速200km以上で走行するルーレット族も大問題ですが、PA出口のイキリダッシュも危険で恥ずかしい迷惑行為です。

 本線に合流するまでは安全な速度で加速していきましょう。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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