大型トラックにある「謎の小部屋」 中はどうなっている? まさかの「快適2階仕様」がスゴい! 一体どんな構造なのか
トラックのルーフに「謎の小部屋」があります。一体どのような部屋なのでしょうか。
「2階建て」構造がスゴい! ドライバー「癒やしの空間」とは
日本の物流を支える大型トラックは長距離を長時間かけて走行することから、ドライバーにとって休憩時間の取り方も大切になってきます。
このドライバーを支えるものが、トラック内部にある「謎の小部屋」です。一体どのような部屋なのでしょうか。
トラックのうち、乗員スペースは「キャブ」といい、さまざまな種類があります。
例えば通常のキャブをハイルーフ化し、室内高を稼ぐことで収納スペースや頭上空間の拡大を図ったり、キャブを後部に延長することでシートのリクライニングを可能にしたり、平らなベッドスペースを設け、横になれるようにしたモデルもあります。
一方でキャブに休憩スペースを設けると、エンジンの騒音や振動、熱などが伝わり、快適な休憩ができないこともあるといいます。
加えて、三菱ふそうによると「荷物をたくさん積みつつ、運転手が休めるスペースも欲しい」という要望があり、積載性が変わらないように休憩スペースを確保する必要がありました。
これを解決するために、キャブ上部に専用部品を取り付け、独立した部屋のような休憩スペースを確保したモデルも存在します。
三菱ふそうでは「スーパーマルチルーフ」、いすゞは「マキシルーフ」、日野は「スーパーハイルーフ」という名称で展開しています。
三菱ふそうのスーパーマルチルーフは、2001年に大型トラック「スーパーグレート(ショートキャブ車)」にオプションで初設定しました。蓄冷式クーラーも設置され、エンジン停止時でも快適に休憩できるようになっています。
サイズは、全長1949mm×全幅970mm×全高740mmとなっており、簡易的なテーブルや雑誌などを収納できるネット、陽の光を取り入れることが可能な開閉式の小窓も設けられ、換気することも可能です。
また、ボディとルーフを一体化したデザインにすることで無駄の無い空気の流れを生み出し、燃費の向上にも貢献しています。
いすゞのマキシルーフは大型トラック「ギガ」に設定されており、サイズは全長1985mm×全幅1025mm×全高865mm。読書やスマホ操作などができるように室内灯やコンセントも採用しています。
さらに、トラックメーカー本体だけでなくボディ仮装メーカーも、こうしたキャブ空間を拡張できるルーフを展開。
三菱ふそうトラック・バスの子会社であるパブコは、スーパーグレートのショートキャブ仕様用マルチルーフ「CABUTO」を販売しています。
FRP製のCABUTOはルーフを切断して取り付けるもので、サイズは全長1920mm×全幅985mm×全高755mmというシングルベッドと同等の大きさを確保しました。
このように、ドライバーの休憩時間を快適にする「小部屋」ですが、SNSなどではSA・PAなどで設置されているシャワーを使うのにシャンプーなどを置いたり、メンテナンス用品や仕事道具などを置く収納スペースとして活用する人もいるようです。
単に就寝用のスペースとして使用するのではなく、ドライバーそれぞれの「プライベート空間」として、さまざまな使い方があるようです。
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トラックドライバーは肉体的負荷のかかる仕事であり、長い拘束時間や荷主からの不当な注文など、過酷な労働環境であることが問題となっています。
こうしたことを受けて、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用されましたが、その一方で労働時間が短くなることで輸送能力が不足するといった問題も新たに浮上しています。
また、ドライバーの人材不足も深刻化しており、新たな担い手を確保することも課題となっています。
そうしたなか、少しでも快適に業務を遂行できるよう、今回の「小部屋」をはじめ、先進運転支援システムの強化や疲れにくいシートの採用など、トラックメーカーもさまざまな対策を講じているのです。
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