水素社会づくりの現状は? CJPTが九州で取り組む! イマの課題は何なのか

CJPTは、九州における水素社会づくりの現状を明らかにしました。

CJPTの中嶋裕樹社長が語る

 トヨタやスズキ、いすゞ、日野が参画している「Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)」は、スーパー耐久のオートポリス大会にて「水素社会づくり」の実現に向けた進捗を明らかにしました。

従来の救急車と同等の使い勝手を誇るFC救急車
従来の救急車と同等の使い勝手を誇るFC救急車

 CJPTは、2021年4月に輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指して設立されました。

 主な取り組みとして商用車における「電動化」と「物流効率化」の2本の柱を軸に日本各地で様々な実証を行っています。

 CJPTとトヨタは、これまで福島県や東京都、福岡県(福岡市含む)で「水素社会づくりの取り組み」を行ってきました。

 その中で今回、2024年7月27日・28日に開催される「スーパー耐久シリーズ in オートポリス」にて、九州における商用車の燃料電池車(FCEV)の進捗が明かされています。

 福岡県とトヨタ、CJPTは、JR九州の運営する「日田彦山線BRTひこぼしライン(バス高速輸送システム)」で使われる「FCマイクロバス」で水素社会の実証実験を行っています。

 これは、大林組が九州で作った「地熱グリーン水素」を使ったものです。

 なお運用開始からのべ2052名が利用していると言います。

 また福岡市とトヨタ、CJPTは、福岡市市民のライフスタイルの中で身近に感じ持続可能で実践的な水素利用を広げることを目的に様々な実証を展開。

 具体的には、給食配送車やゴミ収集車、救急車として燃料電池トラック、移動式発電・給電システム(Moving e)を使って実際に使っています。

 なお福岡市の水素は、同市の下水由来の水素を使っているようです。

  導入実績としては、給食配送車が27校で約20万人の給食を搬送。ゴミ収集車では92日稼働して約450トンのゴミを収集しました。

最近、お酒を控えてシュッとしたというCJPTの中嶋裕樹社長
最近、お酒を控えてシュッとしたというCJPTの中嶋裕樹社長

 このようにBtoGとして自治体と連携した水素社会づくりについて、CJPTの中嶋裕樹社長が語りました。

「去年のスーパー耐久オートポリスから1年。

 志を一緒にする九州の皆さんと実証などを行っており、一部ではリアルな使い方で様々なデータが集まってきました。

 FCのマイクロバスでは実際に使っていただいた人の声を頂き、実際に観光に使えるのではないかと思っています。

 また昨年はまだ試作車レベルだったゴミ収集車はすでに今走ってます。

 FC の給食配送車は、お子さんに水素というものを身近に感じてもらい、彼らが大人になった時にエネルギーは水素が当たり前という世界を作りたくやってきました。

 FCの小型トラックについては、福島県からスタートして、1年間で10万キロを無事走行完了してます。

 このFC トラックを使って10万キロのリアルなデータが取れたというのは非常に大きなことです。

 さらに幸いにも10万キロをお客様に大きなご迷惑かけることなく、何とか出来たということは我々のメンバーのみならず、現場で使っている皆様のご協力があってのことだということで本当に感謝しております」

オートポリスでは、救急車やゴミ収集車などが展示された
オートポリスでは、救急車やゴミ収集車などが展示された

 このように福島県、福岡県、福岡市など様々自治体と連携して水素社会づくりを進めているCJPTとトヨタ。

 今後の課題には何があるのでしょうか。CJPTの中嶋裕樹社長は「現場の課題では、当然、水素価格が高いという問題もありますが、水素ステーションの数が少ない、さらには水素ステーションの安定的な運営などが挙げられます」と話しました。

 この解決に向けたひとつの考え方として、「人口30万人規模の都市」があると言います。

 日本に数多くある人口30万人規模の都市で、前述のクルマたちをFCでまかなう場合、救急車12台、給食配送車30台、ゴミ収集車300台、コミュニティバス30台が必要となり、これらが1日に使う水素は2000kgになると言います。

 この「人口30万人規模の都市」の水素社会を、サステナブルに運営することが今後の車両やインフラのコストを下げることに繋がっていくようです。

 なお車両に関して、年間1万台のトラックを作れれば、ディーゼルのトラックと大きな差がなく、リースとしてお使いいただけるという試算になると言います。

※ ※ ※

 今後も全国にある自治体と連携を検討しているCJPTとトヨタ。

 日本での水素社会づくりがどのように進展していくのか、目が離せません。

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