えっ!「車検」通らなくなる!? “2026年夏”から始まる「ロービーム検査」って何? “延命処置中“に考えたい対策とは
国や関係団体などによる「周知活動」や「対応策」の検討も始まったが……
今回のロービーム検査延期を受けて、国と関係者は次のような取り組みをすると発表しています。
まずユーザーに対して「ロービーム検査が始まること」と「クルマの状態によっては整備費用が増す場合があること」を周知します。
次に、国を中心にロービーム検査に対応する整備方法を調査し、対応策を自動車整備工場などに周知します。
さらに、ヘッドライトの向きを調整できないクルマや、交換するヘッドライトの部品がないクルマなどの実態を調査し、対応方法を検討します。
そしてこれは自動車整備工場向けですが、ヘッドライト測定機器の性能差を調査して、対応方法を検討するとしていますが、今のところ「ロービーム検査とりやめ」とはされていません。
したがって1998年9月1日以降に生産されたクルマは、2026年8月からロービームでの検査が実施されることに変わりありません。
ロービーム検査が始まると、各整備工場は対応策を練る必要があります。そのなかでも、車検作業の分類上で二種類の整備工場があり、それぞれ対応が異なります。
一つ目は「認証工場」で、工場では車検にかかわる定期点検整備をし、車検は検査場にクルマを持ち込んで検査してもらうものです。
検査場では検査官という公務員が検査を実施し、基準に適合していれば車検合格となります。
検査場には他の認証工場のクルマも持ち込まれるので、たいていの場合には検査を受けるクルマの列ができています。
また整備工場と検査場が離れていると、検査場に行くだけでもかなりの時間を要してしまい、時間をかけて検査に行って不合格となったら、認証工場にとっても大変な損害といえます。
二つ目は、指定整備工場で、認証工場と同じ整備作業ができるほか、検査場の検査官と同じ権限を持った検査員が社内にいます。
車検場に車両を持ち込まなくて自社の検査員が検査場と同じ方法で検査をし、基準に適合していることが確認されれば車検合格となります。
指定整備工場では検査場ほど検査を待つクルマの列はできませんが、検査に合格できなさそうなクルマの車検整備は、好意的に受け入れられないかもしれません。
S県で整備工場を営むAさんは、次のように言っています。
「ハイビームにしないと明るさの基準を満たさないと予想したクルマは、お客様に事前に断った上で仕事を受けています。
というのも、想定外のヘッドライト交換費用ばかりか、交換用のヘッドライト部品が見つからず車検を取れない可能性があることを考えると、トラブルが予想されるからです。
散々もめてお金をいただけなかったら、当社だけでなくお客様にも大変な負担になりますからね。
見るからに傷んでいるクルマの車検は、率直なところあまり受けたくないのが実情です」
この先、ユーザーがお店を選んでいた時代から、お店がユーザーを選ぶ時代になっていく事態が訪れるかもしれません。
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