ホンダ新型「すごいヴェゼル」登場! “3年ぶり刷新”の「内容」が多すぎ? 超静音モデル化&走破性強化も実施! 見かけだけじゃない“クーペSUV”の進化とは

スポーツカーのような軽快さ

 新型ヴェゼルに乗って改めて感じたのは、走る楽しさ。ハイブリッドのFFモデルで峠道を走ってみれば、まるでスポーツカーのように軽快に向きを変え、深く曲がりこんだコーナーでもしっかりと曲がっていくハンドリングが楽しいじゃないですか。

 続いてハイブリッドの4WDに乗り換えて同じコースを回ってみたら、こちらもハンドリングは楽しさ全開。今回走った場所では、舗装路における駆動方式違いによるハンドリングの差は感じられませんでした。どちらも楽しく運転できます。

走りは実に軽快!
走りは実に軽快!

 そのうえで、今回のマイナーチェンジでの変更による走りの進化として筆者がもっとも感じたのがハイブリッドシステム。ハイブリッドシステムに関してバッテリーやモーターなど機械的には従来と変わりませんが、制御が変更されているのです。

 ホンダのハイブリッドシステムe:HEVは、日常領域ではエンジンを発電機として使い、そこで起した電気を使ってモーターをまわして駆動力とします(EVモード)。いっぽう強い加速などではエンジンの駆動力とモーターの駆動力を組み合わせるハイブリッドモードになるほか、モーターの効率が悪くなる高速領域ではエンジンの動力を直接の駆動力として活用。日常領域ではEVに近いハイブリッドと言えるでしょう。

 最大のポイントは、EV走行領域が増えたこと。まず、日常領域でエンジンがなかなかかからないこと(エンジンがかかりにくくなったこと)に進化を感じます。気のせいかと思ったら、ここも新型の進化ポイントでした。

 バッテリー使用容量上限の拡大(バッテリー容量自体は変わっていないが実際のユーザーの使い方を踏まえてマージンを削ることで使用領域を増やした)もあって、エンジンオン/オフの切り替えはなんと従来比30%も減ったというのです。

 そして、エンジンの音が気になりにくくなったのも大きな改善。エンジンのオン/オフ時は特に音が目立つので、その頻度が減ったのは効果が大きいのです。

 そのうえ上り坂で発電量を増やすためにエンジン回転を高める制御をやめ、エンジン音の変化がなくなったこともエンジン音が耳障りにならなくなった理由。くわえて静粛性自体の向上もあって、新型はエンジンの存在感の主張がかなり控えめになりました。つまり静かになり、快適性が高まっているのです。

 従来モデルのオーナーは、ディーラーへ行った際に新型に試乗できるチャンスがあったとしても、買い替える予定がないのであれば試乗はしないほうがいいかも。なぜなら、新型の進化の大きさに買い替えたくなってしまう可能性が高いからです。

 ところでヴェゼルにはハイブリッドのほか、純粋なガソリンエンジンも用意されています。果たして、どちらが魅力的でしょうか。

 結論から言えば、ハイブリッドが魅力的。ハイブリッドの魅力は燃費の良さだけと思われがちですが、モーターはトルクがあるから加速にゆとりが増すし、フィーリングも滑らか。そして音も静かで快適性だって高い。価格が高くなることを除けば、いいことずくめなのです。

 一方のガソリン車は価格設定が安い(ヴェゼルはガソリン車だけをベーシックグレードに設置しているので特にそう感じる)のが最大の魅力ですが、それだけでなく車体の軽さによって身のこなしが軽やかなのも魅力。それは運転好きにとっては好感を得られる部分でしょう。

 ちなみに新型ヴェゼルはガソリンのFFモデルが廃止され、駆動方式は4WDだけの設定です。

 というわけでもし新型ヴェゼルを検討してハイブリッドとガソリン車で迷ったら、「最小限の出費で買いたい人」と「軽快な身のこなしを求める運転マニア」にはガソリン車がオススメ。そうではない人は、動力性能にも静粛性にもメリットがあってトータルバランスに優れるハイブリッド車がいいでしょう。トータルの満足感はハイブリッドのほうが高いと筆者は思います。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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