無灯火自転車はなぜ危険なのか クルマ免許の有無で変わる認識
技術やマナーが向上しても、埋まらない「溝」
自転車メーカー大手のブリヂストンサイクル(埼玉県上尾市)によると、「点灯忘れ防止のため、暗くなったら自動でライトが点灯する装置を1990(平成2)年から実用化しているほか、発電時にペダルへの負荷が比較的軽い(前輪の車軸周りに発電機を内蔵した)ハブダイナモ式のライトを採用している車種が多いです。当社製品のほとんどは、そのいずれかが備わっています」と話します。
技術面で進歩した一方、日本自転車普及協会は、「運転免許を取って初めて、無灯火の危険性を認識する人が多いと思います」と話します。この認識の差はどこにあるのでしょうか。フジドライビングスクール(東京都世田谷区)の田中さんは、「自転車に乗る人から、『自転車は常に守られている』という考えもたまに聞かれます。クルマがすべての交通を見て運転しているのだから、大きな事故は起きないだろう、というものです」といいます。
「自転車は、特に横、斜め、後ろなどクルマの死角になるところで見えにくく、だからこそ事故を防止するためにクルマは左折時に左側へ幅寄せをします。教習生からは『(自転車の)乗り方が変わりますね』と言われることもしばしばです」(フジドライビングスクール 田中さん)
先述した警察庁の資料における「指導警告票」の交付件数は、全体として年々減ってきてはいます。たとえばふたり乗りなどは、2007(平成19)年の段階では約56万件でしたが、2016年には約12万件まで減っています。無灯火での交付件数もまた、2007(平成19)年段階では約69万件で、10年間で20万件近く減ってはいますが、全体のなかでの割合が多い状況は変わらないようです。
違反の件数が減っている背景には、技術の向上や、自転車のマナー意識の高まりもあるでしょう。しかしながら、自転車に乗る人と、クルマに乗る人とのあいだにある意識の「溝」はなかなか縮まらないのかもしれません。
【了】
提供:乗りものニュース