大手タイヤメーカーはどう考える? 物流業界の課題解決に向けた「ミシュラン」「ダンロップ」の取り組み
ダンロップとして初のジャパントラックショー出展
「ダンロップ」「ファルケン」ブランドを展開する住友ゴム工業も「ジャパントラックショー2024」に環境負荷低減タイヤ、タイヤメンテナンスサポートサービスなどの展示を行いました。なお住友ゴム工業では、ダンロップとして初のジャパントラックショーへの出展となります。
展示テーマは、タイヤを通じて「お客さまのビジネスでの困りごとをサポートしたい」「持続可能な未来と安全・安心・快適なモビリティ社会の実現に向けた、私たちの描くイノベーションを知ってほしい」です。それに合わせ、ダンロップが現在および今後に提供できる可能な商品・サービス・価値を紹介していました。
更生タイヤは大幅な省資源化とCO2削減を実現
サステナブルなタイヤについては、一度使用したタイヤを再利用することで、資源と新品タイヤ製造時のCO2排出量を削減できる、環境に優しい「更生タイヤ」を紹介しました。使用済みタイヤをダンロップの販売会社や委託契約業者が回収し、更生タイヤ製造工場DRS(ダンロップ・リトレッド・サービス)に搬入してタイヤをリモールド、ユーザーの元に戻して再使用を可能とする「タイヤ委託構成システム」とともに紹介されていました。
更生タイヤでは、新品タイヤに比べると製造に必要な資源を68%節約することができ、製造時のCO2発生量も50%以下を達成可能、とうたわれています。実際に更生タイヤの実物展示も行われていましたが、まるで新品と同じようなクオリティーです。見た目には、ニュータイヤか更生タイヤか見分けがつかないほどでした。
経営課題の解決に関しても、ダンロップはタイヤメーカーらしいアイデアで対応します。「安全管理」「業務効率化」「コスト削減」「環境貢献」という4つのコンセプトに沿って、商品・メンテナンスをパッケージング化してユーザーをサポートする「エコスマートプラン(ESP)を提案していました。タイヤの寿命・燃費をアップさせるための適切なタイヤメンテナンスのサポートや、事業者ごと・車両の用途ごとに異なる最適なタイヤの選定をダンロップが行うサービスで、月ごとに変動しがちな「タイヤにまつわる支払い」を平準化することも可能としています。
このほか、トラック・バス向けタイヤやホイールの内部にセンサーを装着して、空気圧の低下や温度異常を検知するセンサー「TPMS」、車輪脱落予兆・タイヤの空気圧・摩耗状態・荷重のほか、路面状態も検知できる住友ゴム独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」、同社が2013年以降進めてきたこれまでのサステナブルタイヤへの取り組み、および現在のサステナブルな原材料を使った製品開発など、多岐にわたる展示を行っていました。
車体が大きなトラック・バスですが、その移動を支えるタイヤは1台あたりの装着本数も多く、サイズも巨大です。それだけに、環境問題やタイヤメンテナンスに関わる人材確保・コスト問題などは無視できません。ミシュラン・ダンロップ共に、タイヤ本体で解決できる技術といった「ハード面」だけでなく、事業者に向けた「ソフト面」であるメンテナンスサービスなどを用意していることがとても印象的でした。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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