音楽を「大音量」で流しているクルマは“交通違反”!? 「スピーカーからの爆音」に法的基準はあるの?「違反」と見なされる可能性とは
街中では、爆音で音楽を鳴らしながら走行しているクルマを見ることもあります。スピーカーの音量には、道交法などで基準は設けられていないのでしょうか。
「公安委員会遵守事項違反」に該当する!?
音楽を聞きながらのドライブは楽しいものですが、その一方で、爆音と言えるほど大きな音量で音楽を鳴らしながら走っているクルマを見かけることもあります。
スピーカーの音量はどこまでも上げて良いのか、あるいは道交法など法律で基準が規定されているのでしょうか。
“クルマから出る音”としてまず思い当たる「排気音」については、「近接排気騒音」「加速走行騒音」「定常走行騒音」の3つの指標が存在します。
例えば車検で用いられる近接排気騒音は、計測器をマフラーの出口から50cm離した位置に設置し、所定の動作を行った際の音量を測定して91db以下、リアにエンジンがあるクルマは95db以下であれば、車検に合格します(ただし2016年以前に製造された古い年式のクルマについては製造当時の上限が適用されます)。
このように、排気音については明確な指標が定められていますが、ではスピーカーの音についてはどうなのでしょうか。
結論から言えば、実はスピーカーの音量に対しては、「〇〇db以下」といった基準は設けられていません。
ただし、爆音で音楽を鳴らしながら走行すると「公安委員会遵守事項違反」に該当してしまう可能性はあります。
「公安委員会遵守事項」とは、道路交通法第71条6号にある「道路または交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るために必要と認めて定めた事項」のこと。
これは各都道府県の公安委員会が定めており、「道路交通法施行細則」にて確認することができるのですが、爆音で音楽を鳴らしながら走行する行為は、「道路交通法施行細則」にある「運転者の遵守事項」の違反に該当する可能性があります。
この「運転者の遵守事項」には、安全に運転するために運転者が守らなければいけない内容が記載されており、その中のひとつに、
「大きな音量で、カーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用して音楽等を聞くなど安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令等を受信する場合は、この限りでない」(愛知県道路交通法施行細則より抜粋)
とあります。
各地域の公安委員会で文言の違いはあり、またどのくらいの音量であれば違反になるのかは明記されていませんが、例えば緊急自動車のサイレンが聞こえない、警察官の指示が聞こえないほどの音だと、違反と見なされる可能性があるのです。
そして「公安委員会遵守事項違反」となれば、5万円以下の罰金のほか反則金6000円(普通車の場合)が科せられます(違反点数は無し)。
このように、爆音で音楽を鳴らしながら走行してしまうと、周囲の音が聞こえないということで「公安委員会遵守事項違反」とみなされる可能性は十分にあります。
周囲の交通を阻害しないのは当然として、自分自身が事故に遭わないためにも、大音量で音楽を鳴らしながら走行するのは避けた方が良いでしょう。
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