スズキが新型「最上・最大級SUV」を2025年発売へ! 全長4.3mボディ&「斬新シフト」採用! 「謎のサイ」もいる「eVX」の指し示すものとは

スズキが「ジャパンモビリティショー2023」で日本初公開した新型SUVコンセプトカー「eVX」。同車は何を指し示すものなのでしょう。

スズキ「eVX」は2025年にも登場?

 日本では軽自動車と小型車を中心に、手頃な乗用車を展開するスズキですが、自動車の電動化に向けても着実な歩みを進めています。

 その象徴といえるのが、2025年までに市販化を目指す世界戦略車第一弾となるコンセプトモデル「eVX」です。

スズキ”最大・最上級SUV”となるか…「eVX」
スズキ”最大・最上級SUV”となるか…「eVX」

 コンセプトカー「eVX」は、2023年1月、インドで開催された「オートエキスポ2023」にて初披露されました。

 その時点では、簡単なスペックとエクステリアデザインのみが明かされてましたが、同年10月26日~11月5日の期間で開催された「ジャパンモビリティショー2023(以下JMS2023)」では、インテリアが初公開されました。

 同車は、全長4300mm×全幅1800mm×全高1600mmのボディサイズを持つBセグメントのコンパクトSUVに仕立てられています。これは日本国内で販売されている「エスクード」よりも大きく、海外で販売されているスズキ最大級SUVの「グランドビターラ」と同等です。

 駆動方式はまだ明言されていませんが「スズキの四輪駆動テクノロジーを更に進化させ、スズキのSUVに相応しい本格的な走行性能を目指す」としているため、4WDが基本となりそうです。

 EVとしてコンパクトSUVが企画された背景をスズキに尋ねると、以下のような回答でした。

「特定の地域、国を対象にするのではなく、環境問題はグローバルで取り組む必要があります。その中で、EVはお客様が参加しやすく、カーボンニュートラルの貢献が実感できるソリューションであると考えています。スズキがグローバルでお客様に最も求められ、且つ、各市場にマッチした提案ということを考えた時の答えが、コンパクトSUV EVのeVXであると考えました」

現代社会において、日本を含めた先進国では、SUVがセダンやハッチバックなどのニーズを奪い、大きなシェアを持つカテゴリーへと成長を遂げています。

 また新興国や発展途上国では、道路インフラの関係から、SUVが重宝される現状があります。

 さらにSUVは構造上、駆動用バッテリーの搭載スペースが確保しやすいメリットもあります。これらを踏まえると、スズキは、かなり現実的な選択とし、その商品化に本気であることが分かります。

 SUVらしいタフなスタイリングのデザインテーマは、「Hightech & Adventure」で、EVを感じさせる先進感のあるテイストと力強いSUVのシルエットを掛け合わせることで、今までにないBセグメントの本格SUVのEVを表現したとします。

 その筋肉質なスタイルは、歴代エスクードを彷彿させる部分でもあり、スズキらしさがあります。

 実は、スズキ現行モデルとのコラボといえるデザインも、エクステリアには取り入れられています。それが充電口にデザインされた「サイ」のマークです。

 このサイは、スズキのデザイナーが手掛け、1981年の登場の2代目ジムニーより伝統的に使われているもので、新型ジムニーでも、純正アクセサリーに使われています。つまり、スズキの誇る4WD性能を継承するモデルであることの現れといっても良いかもしれません。

 日本で初公開されたインテリアは、ワイドなフルカラー液晶ディスプレイメーターやバイワイヤーが想像されるステアリング、斬新な「コンパクトなシフトスイッチ」などを備えたEVらしい未来的な空間に仕上げられています。さらに前後ともシートはホールド性の良さを感じさせる形状となっているのは、SUVとしてのこだわりでしょう。

 メカニズムは非公表ですが、インドの発表では、60kWhの駆動用バッテリーを搭載し、航続距離が550km(インドMIDCモード測定値)でした。一方JMS2023では、航続距離のみが公表され、500kmとなっていました。

 ただこれは計測方法による違いとも考えられ、概ね500kmほどの航続距離が想定されていることが伺えます。

 スズキによれば、現時点では、開発の進展など明かせる情報はないとのことでしたが、昨年7月には、eVXと思われるテスト車のスクープ写真も、一部メディアから報道されています。

 2025年までの発売を公言しているだけに、着実な開発が進められている証拠ともいえるでしょう。因みに、eVXの名称は、「EV」とSUVを想起させる「X」を組み合わせたものだそう。

 このため、登場時には新たな名前が与えられるものと予想されます。インドで初公開したことも踏まえると、EVとして現実的な価格を目指していると考えられるだけに、その登場時期だけでなく、内容と価格にも大注目です。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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