全長3.4m級のホンダ「小型ミニバン」あった!? まさかの超斬新「カクカク透明ボディ」×6輪仕様がスゴい! 画期的すぎた「UNIBOX」とは何だったのか

ホンダがかつて提案していた「UNIBOX(ユニボックス)」とは、どのようなモデルなのでしょうか。

まさかの「全身スッケスケ」!? 技術の一部は現代にも採用

 これまで開催されてきた国内外のモーターショーでは、市販予定の新型モデルに加え、新時代のクルマの姿を示すコンセプトカーも登場し、話題を集めます。
 
 さまざまな事情から市販に至らなかった“幻”のモデルも数多くありますが、そのひとつが2001年10月開催の第35回「東京モーターショー」で登場したホンダ「UNIBOX(ユニボックス)」です。

斬新すぎる… 謎の「UNIBOX」とは
斬新すぎる… 謎の「UNIBOX」とは

 2001年はデフレが進行し、失業率は5%台を記録。さらに開催前月の9月11日には米国で同時多発テロが発生しました。

 これにより、東京モーターショーでも開会式が取りやめとなり、さらに来場者の手荷物検査をはじめとする警備の強化が行われるなど、異例づくしの回となりました。

 しかし、21世紀に入り新時代のクルマの在り方を示す低公害・低燃費車やITを活用したモデルが登場するなど、クルマ業界には明るい兆しが見えた回でもあったのです。

 ホンダでは、「FUN MAX!~Take FUN to the MAX.」をテーマに、「走りの楽しさ」と「移動空間の楽しさ」を広げる新しい価値をもったクルマを提案する出展を実施。乗用車では19車種21台が展示されました。

 そのうちの1台であるユニボックスは1BOXタイプのコンセプトカーで、当時「もっと自由にコミュニケーションして、生活の楽しさをもっと広げていくクルマ。そんな発想から生まれた、マルチ・ライフ・ターミナル」と説明されていました。

 ボディサイズは、全長3420mm×全幅1740mm×全高1890mmとかなりコンパクトですが後輪は2軸の4輪で、計6輪。ボックスの名の通り、箱型でミニバンのような形状です。

 ユニボックス最大の特徴は、エクステリアのパネルすべてが透明になっている点です。これにより車外から車内の様子がはっきりとわかる上に、運転時には死角がほとんどなくなり、安全性能にも寄与しています。

 パネルは凹凸のない水平面で仕上げられ、トラス骨格のボディにビスで装着されており、透明のパネルに加えてアルミやカラーパネルも用意されているため、好みに応じてデザインをアレンジすることも可能です。

 インテリアは、シートポジションを自由にレイアウトできるフルフラットフロアとなっているほか、ボディパネルを取り付けるトラス骨格がそのままデザインの一部として活かされた斬新かつ無機質な仕上がりです。

 その一方で、ウッドや革などの天然素材も採用されるなど、金属と温かみのある素材を組み合わせ、リビングのようにくつろげる室内空間となっています。

 運転席周りでは「ジョイスティック・コントロールシステム」を採用。通常のステアリングやペダルは廃され、加速・制動を1本のジョイスティックで操作できます。

 またユニボックスには多くの先進運転支援機能が搭載されました。

 ミリ波レーダーやCCDカメラを各部に搭載したほか、車両間情報通信による衝突防止機能や路面インフラとの連携で、対象物との衝突防止などを実現。

 フロントガラスに投影されるヘッドアップディスプレイや、前方には複数の液晶パネルを組み合わせる「ITインストゥルメントパネル」を搭載するなど、当時はまだ先進的で画期的だった数多くの最新装備が採用されました。

 さらに、パネルやドアには収納スペースが設けられ、同時に披露された「i-CARGO(愛カーゴ)」「MOBIMOBA(モビモバ)」「CAIXA(カイシャ)」といった電動小型モビリティを搭載可能。ユニボックスとセットとすることで、移動の可能性が大きく拡大されています。

 なお、パワートレインの詳細は一切明かされておらず、エンジン車かEVかどうかも不明でした。

※ ※ ※

 ボディすべてが透明という大胆な発想のユニボックスですが、残念ながら直接的な市販モデルは登場しませんでした。

 しかしながら、後にも先にも全身“スケルトン”なモデルはホンダ以外からも一切登場しておらず、極めて斬新なモデルであったのは間違いありません。

 そうした一方で、レーダーの装備や車両相互の通信などは登場から20年以上経過した現在でもブラッシュアップされて新型車に搭載され、ユニボックスの技術が現代にも活かされています。

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