2024年4月25日から開催されている北京モーターショー2024にて、日産はEVのコンセプトカーを4車種を発表しました。
　
　いったいどのようなクルマなのでしょうか。

　日産は現在、グローバル市場においてSUV「アリア」とハッチバック「リーフ」、日本ではそれらに加えて軽乗用車「サクラ」と軽貨物車「クリッパーEV」などの電気自動車を販売しています。

　日産のリーフは現在の電動化の流れに先駆けて2010年に発売されましたが、その後に続く電気自動車ラインナップの拡充ペースは比較的遅く、世界最大のEV市場である中国市場においても後発の中国ブランドに押されている状況です。

　日産のコンパクトセダン「シルフィ」も長らく中国の乗用車販売台数ランキングにおいてトップを走り続けていたものの、ここ1、2年では同じセグメントのEVセダン「BYD 秦PLUS」がシェアが奪っており、日産内部では「変化の早い中国市場にて十分な対応が取れていない」との声が以前より聞かれていました。

　そんな中、日産は2024年4月25日より開幕した「北京モーターショー2024」にてEV（含BEV・PHEV）のコンセプトモデルを4車種発表しました。

　また、会場には2023年11月の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」でお披露目されたスポーツコンセプト「ハイパーフォース」や「ハイパーパンク」も展示され、来場者からの注目を浴びました。

　今回発表されたのは「日産エポック・コンセプト」「日産エピック・コンセプト」のBEV 2モデル、そして「日産エラ・コンセプト」「日産エヴォ・コンセプト」のPHEV 2モデル、計4モデルです。

　ただ、実際に会場に展示されたのは「日産エポック・コンセプト」以外の3モデルとなり、「日産エポック・コンセプト」はイメージのみの公開となりました。

「日産エピック・コンセプト」はミドルサイズのSUVとなり、都市部のカップルが週末にアウトドアを楽しむというコンセプトで設計されました。

　そのコンセプト通り、オフロード走行にも最適な最低地上高、そしてラギッドさと洗練さの両方を兼ね備えたような力強いルックスが特徴的です。

　サイズ感は現在販売されているエクストレイルより少し小さい印象ですが、室内空間を広く取ることで、長距離移動における負担軽減、そして荷物の積載能力向上が望めることでしょう。

　中国では新型コロナウィルス感染症の流行以降、アウトドアにおけるアクティビティが密かなブームとなりつつあります。

　そのブームにBEVをもってのっかかることで、的確に中国の消費者に向けてアピールする狙いがあります。

　また、PHEVの「日産エラ・コンセプト」は車内空間をもうひとつのパーソナルスペースとして定義、都市派SUVの様相を醸し出す雰囲気が特徴です。

　「日産エピック・コンセプト」と比べてより洗練されたエクステリアデザインを持ち、ボディサイズもひと回り小さい、「キックス」ほどのサイズ感となります。

　前後のデザインは「日産エピック・コンセプト」と同じく、斜めに並べられた線状の灯火類が目につきます。

　一方で、会場で唯一展示されたセダン「日産エヴォ・コンセプト」はPHEVとなります。

　流行の「クーペ風」スタイリングを取り入れた4ドアセダンとなり、リアゲートはダックテールスポイラーのように上へそり返ったラインを描いています。

　会場でひと目見たときにこのモデルは人気車種「シルフィ」の電動化を想起させている感じましたが、設計思想自体も先進の運転支援技術を備えたファミリー向けモデルとなっており、シルフィの後継ポジションを担うことに期待が集まります。

　フロントは会場で展示された他のSUVコンセプトと異なり、左右を繋ぐ一直線のデイライトから、中心にかけて斜めに下ろされたシャープな意匠を特徴とします。

　リアは左右に「コの字」のライトユニットを配置、双方を上部で繋ぐというデザインになっています。

　日産は中国市場においてシルフィとティアナでセダンのラインナップを形成、そのうちシルフィには発電用エンジンを搭載する「e-POWER」が設定されていますが、EVモデルは設定されていません。

　一方、世界的なEVメーカーへと成長した「BYD」のベストセラー「秦PLUS」はBEVとPHEVの両方を設定するEVとなり、日産としても秦PLUSに奪われたシェアを取り返したという思惑があると推測します。

　日産はこれまで4車種のEVを2026年度までに中国市場へ投入すると発表していましたが、これにもう1車種加えるとも発表しました。

　今回お披露目された4モデルは日産の現地合弁パートナー「東風汽車」と共同で開発を進めていく計画で、この親密な連携をもって変化の早い中国市場へ素早く対応するとしています。