スバル「フォレスター」買うなら“新型モデル”を待つべき?成熟しきった“現行モデル”を選ぶ価値はどこにある?

現行フォレスターのお勧めグレードはどれ?

 新型フォレスターは前述の通り外観が大きく変更されてフルインナーフレーム構造なども採用されますが、ボディサイズやホイールベース(前輪と後輪の間隔)に大きな変化はないでしょう。

 従って居住空間や荷室の広さは現行モデルとほぼ同じで、進化するのは主に運転感覚や乗り心地などの質感になると思います。

 この点も踏まえて、現行フォレスターについて改めて考えてみましょう。

ターボエンジンを搭載した現行「フォレスター スポーツ」
ターボエンジンを搭載した現行「フォレスター スポーツ」

 スバルは他社に比べて車種の数が少ないこともあり、フルモデルチェンジの後も改良を比較的頻繁に行って商品力を高めています。

 現行フォレスターも、2018年に現行モデルに切り替わった後、ほぼ毎年改良を行ってきました。直近では2023年8月にも改良を実施しています。

 2021年の改良は比較的規模が大きく、新世代アイサイトを採用。ステレオカメラの広角化やソフトウェアの改良によって、対象物を検知する視野を一層広げています。

 グレード追加も積極的に行われており、2020年の改良では1.8リッター直噴ターボを搭載した「スポーツ」を設定。2022年にはスポーツの外観や足まわりをグレードアップした「STIスポーツ」も用意しました。

 このように現行フォレスターは、2018年の登場以降、安全装備を筆頭に改良を重ねてターボエンジンなどの追加も含めて熟成を図ってきたのです。

 その中でも特に買い得なグレードは、追加された1.8リッターターボエンジンを搭載するスポーツです。

 価格は346万5000円と少し高めですが、最高出力は177馬力、最大トルクは30.6kg-mとされ、3リッター自然吸気エンジンに相当する動力性能を発揮します。

 その一方でWLTCモード燃費は13.6km/Lですから、マイルドハイブリッドのe-BOXER搭載車の14.0km/Lと比較しても0.4km/Lしか悪化していません。つまり、動力性能が高く、なおかつ燃費性能はe-BOXER並みというわけです。

 フォレスターは全車にAWDを搭載しており、ターボのWLTCモード燃費が13.6km/Lなら満足度は高いでしょう。

 装備も充実しており、後方の並走車両を検知する機能などを含んだアイサイトセイフティプラス、脇見運転などを検知して警報するドライバーモニタリングシステム、ウルトラスエード/本革シート、18インチアルミホイールなどを標準装着しました。

 装備の水準が同程度で、e-BOXERを搭載する「アドバンス」の価格が339万9000円ですから、スポーツであればパワフルかつ低燃費の1.8リッターターボが実質6万6000円の上乗せで手に入ります。これはかなり買い得だといえるでしょう。

※ ※ ※

 日本仕様の新型フォレスターの詳細は未定ですが、昨今の国産車の価格推移を考えると、原材料費や輸送費の上昇に応じて値上げされるものと思われます。

 新型では、現行フォレスターのスポーツのように、高性能で燃費の悪化も抑えられ、価格も割安なグレードが設定されない可能性もあるほか、値引き額も減るでしょう。

 現行フォレスターは改良やグレード追加を綿密に行っているからこそ商品力が熟成されており、発売から約6年を経過しながら選ぶ価値を十分に保っています。

 購入のしやすさを考えても、現行モデルのフォレスター スポーツを検討する価値は高いといえます。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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