なぜ車の「サンルーフ」減った? 昔は「あこがれの装備」なのに… 装着するとデメリットも? 近年は「ガラスルーフ」が増加に
かつては「サンルーフ」が設定されているクルマが多くありましたが、現在では減少しています。一体なぜなのでしょうか。
かつて定番の「サンルーフ」なぜ減った?
クルマに備わるさまざまな快適装備があるなかで、ルーフ(屋根)の一部が開く「サンルーフ」装着車を好んで選ぶという人もいるでしょう。
しかし、近年ではサンルーフの設定が減ってきている傾向にあるのです。
サンルーフはルーフの一部が開閉構造となっており、車内の空気が吸い出されて換気ができたり、車内に日差しを取り入れられるだけでなく、乗員が手軽に開放感を味わえる人気の装備です。
一般的にはサンルーフと呼ばれていますが、ムーンルーフ、スライディングルーフなどの名称を使用しているメーカーもあります。
上級クラスのモデルでは標準装備として備わるケースもありますが、多くが新車時に選択するメーカーオプションで設定されており、十数万円程度と比較的高価なオプションのひとつです。
国産車では、手動式が1968年登場のホンダ「N360」に初めて採用され、モーターによる電動式は1978年登場のホンダ「プレリュード」で初採用されたといわれています。
一部の車種ではサンルーフの可動部が窓になっている「ガラスサンルーフ」を採用しており、シェードを格納すれば窓を閉じた状態で光を取り入れることができます。
特に、1980年代からはバブル景気によるクルマの装備の充実化といったことや、いわゆる「デートカーブーム」などから人気の装備となり、憧れの装備として知られていました。
しかし、2000年代以降では一部の上級モデルを除き、サンルーフを標準装備したり、メーカーオプションとして用意するクルマは減少傾向にあるようです。
この背景には、換気というサンルーフの目的に対し喫煙者が減少していることや、安全性向上のためにルーフ強度を高める必要があること、低燃費化を目指して重量のあるサンルーフ機構を廃し、軽量化する必要があることなど、様々な要因があるとされています。
そして近年では、先進安全装備の強化や電動化など、クルマの高機能・多機能化していることから新車の車両本体価格が上昇している傾向にあります。
そうしたなかでオプション装備を選ばず価格を抑制したいユーザーがサンルーフを選ばないという指摘もあるようです。
一方、近年はサンルーフに代わる新たな装備が登場し、採用される新車も増えています。
パノラマルーフ(パノラミックルーフ、ガラスルーフとも)は、ルーフの大面積をガラスとしたもので、日差しを取り入れることができ、天井に開放感が生まれることはサンルーフと同様ですが、ガラス自体の開閉機構を持ちません。
2020年6月に発売されたトヨタのミディアムSUV「ハリアー」現行型では、先代では開閉できるサンルーフを装備していましたが、現行ではガラスの透過を切り替えられる「調光パノラマルーフ」がオプションで設定されています。
また、2023年1月に発売されたトヨタ「プリウス」も同様に、先代ではサンルーフでしたが現行では後席まで広がる大型のパノラマルーフがメーカーオプション設定されています。
開閉できないパノラマルーフですが、そのぶんフロントシートからリアシートまで、大きなガラスエリアを持たせることができ、大きな特徴となっています。
パノラマルーフの装着に関して、国産ディーラーの販売スタッフは過去の取材で次のように説明しています。
「当社のクルマでパノラマルーフを付けられるのは上級グレードがほとんどです。また装着を希望するお客様の多くは『開放感が欲しい』という理由から付けられているようです」
また、中古車販売店のスタッフは以下のように話しています。
「パノラマルーフやサンルーフを装備しているクルマは流通台数が少なく、高値で販売されています。
そのぶん乗り換えや下取りに出す場合、お乗りのクルマにパノラマルーフやサンルーフが装着されていると、買い取り査定ではプラスの評価になり、新車のオプション価格と同じ程度加算されるケースもあります」
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サンルーフが減っただけでパノラマルーフを含めたルーフガラス装着車かなり増加傾向ですよ
ハイブリッドやEVのエアコン電気使用量を減らす効果があります