全長5.3m超え 新型「4列シートミニバン」初公開! 斬新デザインのラグジュアリー仕様登場!? 有名タクシーメーカーが中国で発表

電気自動車(BEV)を手がける「LEVC(ロンドン・エレクトリック・ビークル・カンパニー)が、新たな純電動ミニバンを投入予定です。

ジーリー傘下「LEVC」、新たなBEVミニバン「L380」登場へ

 高級ミニバンと言えば日本ではトヨタ「アルファード」が有名ですが、中国でも昨今では高級ミニバンが人気です。
 
 そうした中でLEVCは、新たなミニバンの公式ティーザー画像を公開しました。

LEVCが、新たな純電動ミニバン「L380」の公式ティーザー画像を公開
LEVCが、新たな純電動ミニバン「L380」の公式ティーザー画像を公開

 電気自動車(BEV)を手がける「LEVC(ロンドン・エレクトリック・ビークル・カンパニー)が、新たな純電動ミニバンを投入予定です。

 いったいどのようなクルマなのでしょうか。

 LEVCは前身に「ザ・ロンドン・タクシー・カンパニー」を持つイギリスの自動車会社で、現在は中国のジーリー(吉利汽車)グループの傘下企業です。

 ロンドンの象徴的な要素のひとつである通称「ロンドン・タクシー」の専用車を長年手がけてきた前身会社が2012年10月にジーリーによって買収されました。

 2017年7月にはジーリー体制初となる新型車「TX」を発表したのを機に、会社名を現行の「LEVC(ロンドン・エレクトリック・ビークル・カンパニー)」へと変更。

 LEVCの「TX」は同じくジーリー傘下のボルボが開発したB3154T型1.5リッター直列3気筒ターボエンジンを発電用として搭載するレンジエクステンダー付きEV(EREV)です。

 そこに容量34.6 kWhのリチウムイオン電池を搭載、純電動航続距離は126 km、総合航続距離536 kmを誇ります(どちらもWLTP数値)。駆動方式は出力148 hpのモーターが後輪に配置された後輪駆動となります。

 2018年の発売以来、TXは2022年4月末時点で5000台がロンドンのタクシーとして活躍。

 これはロンドンのタクシー全体の1/3以上を占める数字で、2018年1月にディーゼル車の新規タクシー登録を禁止して以降、ロンドンのタクシーはよりクリーンなものへと変化しています。

 LEVCはTX以外に、TXをベースとする商用版「VN5」も2019年より販売していますが、それ移行しばらく新型車をリリースしてませんでした。

 しかし、この度新たなモデルが投入される形となりました。

 2024年1月25日、LEVCは新モデルとなる「L380」の公式ティーザー画像を公開。

 翌日にはさっそく浙江省義烏市にある生産施設で試作車もラインオフしています。

 LEVCによると、L380という名称は「3」が格納可能なシートをすべて格納した際の最小座席数、「8」が最大座席数、そして「0」がゼロエミッションを意味するとしています。

 エクステリアは昨今の中国系ミニバンらしく、シンプルで未来的な造形が特徴的です。

 フロントマスク上部には左右を一直線に繋ぐLEDのデイライトを基調に、左右下部にヘッドライトが配置されています。

 L380はBEVとなるので、黒い部分を最小限に抑えたグリルレスな顔を持ちます。

 横から見ると、そのシンプルな作りがより顕著です。フロントからリアにかけてのサイドパネルは無機質に設計されており、ドアハンドルも格納式なため、その姿はまさに「四角い箱」という印象を与えます。

 ショルダーラインから上を構成するピラーやルーフはすべてブラックに仕立てられているのが特徴的です。また、後部座席のドアはスライドドアとなっていますが、それを稼働させるためのレールが上手に隠されているのも、このミニマリズムなデザインに寄与しています。

 現時点で公式発表されているスペックなどの詳細は少ないですが、その一部が中国政府機関のウェブサイトより公表されています。

 この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。

 工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが中国国内で製造する新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。

 工信部への届出情報によると、ボディサイズは全長5316mm×全幅1998mm×全高1940mm、ホイールベース3185mm。車両重量は3トン近い2805 kg(容量116 kWhモデルは2960 kg)となり、LEVCが今まで手がけてきた中で最も大きいサイズの車種です。

 乗車定員に関しては6人乗りと8人乗りモデルが用意され、前者は2+2+2の3列構成、後者ではそれに2人座れる4列目を加えた設計となります。

 また、2列目と3列目は前後のスライドやリクライニング機能を持つ一方、4列目シートはフルフラットに格納できるために、スライドは不可となります。

 駆動用モーターにはジーリー子会社のVREMT(威睿電動汽車)が製造する出力268 hpを1基搭載。

 また、バッテリーはCATL(寧徳時代)が製造する容量100 kWhと116 kWhの三元系リチウムイオン電池が選択可能です。

 100 kWhモデルの航続距離はCLTC方式で570 km、116 kWhモデルが675 kmを誇る仕様となります。

 工信部に届出された画像からは車名のエンブレムが「Xspace」になっているのを確認できますが、これは正式発表前の名称であり、正式名称は「L380」になるようです。

 また、中国で生産されるため、LEVCの中国名である「翼真」のエンブレムも確認できます。

 L380の採用プラットフォームは数多くのジーリー傘下車種が採用する「SEAプラットフォーム」を発展させた「SOAプラットフォーム」です。

 これは通常よりも低床なフロアを持つことにより、乗用車であれば乗員に窮屈さを感じさせないプレミアムな空間、商用車であれば荷物をより多く乗せられる実用的な空間のどちらも実現可能としています。

 L380はどちらかといえば乗用寄りなモデルとなりますが、同じSOAプラットフォームを採用する大型商用バンの投入も期待できます。

 現時点でL380は中国で発売されるのが確実視されていますが、一方で本国・イギリスを含むその他市場にも投入されるかは不明です。

 中国では大型ミニバンの需要が高まっており、ジーリーグループでも「ジーカー」ブランドから「009」、そしてそのボルボ版である「EM90」を展開しています。

 中国以外でも純電動ミニバンに対する注目が高まれば、欧州市場などへのL380投入も現実的になることでしょう。

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