トヨタ製「スーパーカー!?」 ガバッと開く「ガルウイング」が超絶カッコいい! クルマ好きの「夢」を実現したドリームマシンとは
海外の高級スーパースポーツカーには、「ガルウイングドア」や「バタフライドア」など、珍しいドアの開き方を採用したモデルが多く存在しますが、実は国産かつ量産車にもこのような跳ね上げ式ドアを採用したモデルが存在しました。
まるで「スーパーカー」みたいな国産車!?
一般的にクルマのドアには、スイングしながら開く「ヒンジドア」か、横にスライドして開く「スライドドア」が多く採用されています。
一方で、海外の高級スーパースポーツカーには、ドアを真上に跳ね上げる「ガルウイングドア」や「バタフライドア」など、派手で珍しい開き方のタイプも存在。
しかし、過去にはこの珍しい「跳ね上げ式」のドアを採用した国産車、しかも“量産モデル”がありました。
そのモデルの名は、トヨタ「セラ」。1990年にトヨタから発売された3ドアクーペです。
トヨタは1983年から若手を中心としたクルマの開発プロジェクトをスタートさせており、そこで生み出されたのがバタフライドアを装備したコンセプトカー「AXV-II」。
同車は1987年に開催された第27回東京モーターショーに出展され好評を獲得し、その2年後に市販モデルとしてセラが登場しました。
セラの特徴は何と言っても、先述のように跳ね上げ式のバタフライドアを装備している点。
このドアはルーフ上部に取り付けられたドアヒンジを支点に「斜め上」へと跳ね上がるタイプとなっており、国産の量産モデルとしては初の採用となります。
また、ルーフのほとんどがガラスで構成されている「グラストップ」構造もセラの大きな特徴で、バタフライドアの上半分がガラスとなるうえ、前後のフロントガラス・リアガラスも広く確保されるため、他のどのクルマにも似ていない唯一無二の美しいグラストップボディを実現していました。
そんなセラだけに発表当時は、まるで芸術品のような見事なフォルムに心惹かれた人も多かったといいます。
一方でインテリアは、美しいボディデザインを引き立たせるよう、シンプルでシャープな造りを採用。
さらに、ダッシュボードやシートはボディカラーにあわせた専用のカラーで仕上げられるなど、ひたすらに「美しさ」を追い求めたこだわりのデザインがセラの真価でしょう。
そんなセラのベース車両は、意外にもベーシックなコンパクトカーのトヨタ「スターレット(P70型)」。
セラのパワーユニットは、最高出力は110馬力を発揮する1.5リッター直4DOHCエンジンを搭載し、トランスミッションはMTとATが選択可能。
このトランスミッションや足回りもベース車のスターレットと共通のものが使用され、ラインアップは1グレード展開のみでしたが、寒冷地仕様も用意されるなど細かな配慮はさすがトヨタ車といったところ。
このように非常に美しいフォルムにこだわって開発されたセラですが、発売から約5年間での累計販売台数はおよそ1万6000台と、量産車としては物足りない実績に終始します。
セラは大きな話題とともに登場した注目のモデルでしたが、強烈すぎる個性ゆえに、一般ユーザー層が購入に躊躇してしまった可能性は否定できません。
そして1996年に残念ながら販売が終了しますが、一方で熱烈なファンを生み出したのも事実。
登場から約35年経った現在でも、メンテナンスを続けながら大切に乗り続けているオーナーが存在するのは、今でも通用する美しいデザインや個性の強さあってのものでしょう。
※ ※ ※
世にも珍しいバタフライドアを採用した初の国産車 セラ。
販売台数が少なく、発売から30年以上経過していることもあって、中古市場に出ている数はごく少数。
販売価格も100万円以上、とくに希少なMTモデルは数百万円と強気の価格設定なので、これから手に入れるには少し根気が必要かもしれません。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。