道路脇のカメラ「オービス」じゃない! 何をしてる? 全国各地にある「謎のカメラ」とは
「移動式オービス」によく似た「ナンバー自動読取装置」という機械も存在します。一体どのような装置なのでしょうか。
「ナンバー自動読取装置」って一体どんなもの? 車検切れのクルマを発見するものだった
最近では、あらゆる場所で速度違反取り締まりができる「移動式オービス」が頻繁に目撃されています。
実はそれによく似た「ナンバー自動読取装置」という機械も存在します。
では、これは一体どのような装置なのでしょうか。
警察による交通取り締まりは日々、全国各地でおこなわれています。
最近では、カメラの下に三脚が付いた可搬式の速度違反自動取締装置(通称:移動式オービス)によって速度違反の車両を撮影し検挙する方法も増えています。
移動式オービスは分解して自由に持ち運べるという特性から、狭い通学路や生活道路での取り締まりのほか、高速道路などでも活用されています。
そのため、道路脇に三脚の付いた箱状の装置があれば移動式オービスだと判断するドライバーもいるかもしれません。
しかし移動式オービスによく似た装置として、国土交通省が管理する可搬式の「ナンバー自動読取装置」というものが存在します。
では、この装置は一体どのように利用されているのでしょうか。
ナンバー自動読取装置は、三脚の付いたカメラで通行するクルマのナンバーを撮影した後、瞬時に全国の無車検車情報のデータベースと照合して車検切れのクルマを発見する装置です。
もし車検切れの車両が通過した場合には、カメラと接続するパソコンの画面に「HIT」の文字と撮影したナンバープレートの画像などが表示されます。
ちなみにナンバー自動読取装置は移動式オービスと見た目が似ているものの、クルマのスピードを測定する機能などは付いておらず、あくまで車検切れのみを取り締まる装置です。
車検切れのまま車両を運転することは道路運送車両法第58条第1項の違反であり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性のあるれっきとした犯罪です。
そのため、定期的に国土交通省の職員と警察官が合同でナンバー自動読取装置を使った街頭検査をおこなっています。
具体的には、ナンバー自動読取装置が反応すれば警察官がその車両を停止させ、実際に車検が切れているかどうかを車検証などから確認します。
車検が切れている場合は警察が取り調べなど必要な捜査をおこなうほか、車検切れの車両はそのまま運転できないためレッカー移動させるといった措置をとります。
また、車検切れのクルマは同時に自賠責保険の期限が切れていることも多く、その場合は無保険運行にも該当。
無保険運行は自動車損害賠償保障法第5条の違反であり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則が定められています。
もともと、このナンバー自動読取装置は2017年度に全国5箇所で試行導入され、2018年度から全国で導入・運用されるようになりました。
2018年9月-2019年3月までの間には35都道府県、43箇所で街頭検査をおこない、合計3万7403台のナンバーを読み取った結果、43台の車検切れが見つかっています。
そのほか2021年には沖縄県や北海道、2022年には愛知県や茨城県など全国各地で車検切れの街頭検査が引き続き実施されました。
クルマを運転する際には事前に車検証や車検ステッカー(検査標章)を確認しておくことが大切といえるでしょう。
なお、車検の時期については運輸局や軽自動車検査協会などから通知されないため、自分で時期を把握しておかなければいけません。
1度車検を受けたディーラーやカー用品店など自動車業者から車検の案内ハガキが届くケースもあるため、必要であれば手続きをしておくと良いでしょう。
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国土交通省の管理するナンバー自動読取装置と警察が使用する移動式オービスは似ていますが、その機能は全く異なります。
ナンバー自動読取装置の場合はカメラの付近にパソコンが置かれている、基本的には国土交通省の職員と警察官が合同で取り締まっているなどの特徴があるため、一見して分かりやすいかもしれません。