住宅街にある「居住者用車両を除く」は誰が通れる? 「近道」利用は違反? タクシーは通れるのか
「車両通行止め」標識に「居住者用車両を除く」と書かれた補助標識が組み合わされると、その道は通行止めだが居住者用車両であれば通れるという意味になります。では、いったい居住者用車両とはどんなクルマのことでしょうか。もしも一般のクルマが走ったら違反になるのでしょうか。
通れるのは居住者用車両のみ。それってどんなクルマ?
住宅街などで「車両通行止め」の標識下に「居住者用車両を除く」と補助標識がついた道路を見かけます。
この標識の組み合わせは、居住者用車両以外のクルマは通行止めという意味を持ちます。
標識の付近に「この道路は居住者以外通り抜けできません」などと縦書きの説明看板を見たことがある人も多いでしょう。
しかし、その道路に住民を乗せたタクシーや配送業者のクルマなどが進入する姿も見られます。果たして、どんなクルマなら通ってもいいのでしょうか。
実はこうした「居住者以外のクルマは進入禁止」という規制は、エリアの安全を維持するためにつくられています。
規制が生まれた経緯や目的について、警視庁交通相談センターの担当者は次のように話します。
「都内における交通規制(居住者用車両を除く)は昭和52年に三カ年計画された、東京マイタウン化政策に基づいて実施されました。
生活道路から通過交通を排除し、歩行者の安全を守るという目的があります」
つまり、生活者以外のクルマを通り抜けさせないための規制です。
考え方としては、児童の安全を守るため通学路に設ける「スクールゾーン」に近いようです。
一方で、一般的な通行禁止道路と少し異なるところもあります。
スクールゾーンも含め通行禁止の道路は、警察署長から交付された許可証があれば通ることができます。
しかし、「居住者用車両を除く」標識区域は、通るために許可証は必要ありません。
それでは、居住者用車両とは、どのようなクルマのことを指しているのでしょうか。前出の担当者は次のように話します。
「実は、これに関しての厳密な規定は特にありません。
先ほども言った通り、これは生活道路から通過交通を排除し歩行者を守る目的をもった交通対策です。
そのエリアに用事がある車両であれば、例えば居住者車両はもちろん、宅配便や居住者が呼んだタクシー、工事用車両なども通行可能という認識がされています」
※ ※ ※
具体的にいうと、タクシーであれば居住者宅へ向かったり、居住者が降車したりする場合に通行できるようです。宅配車両や郵便配達車両なども、荷物を配達する際の通行はOK。
そのエリアの居住者の車両でない場合は、エリアに何らかの目的があるかどうかが、通行できるかできないかのポイントとなるようです。
また、居住者には企業なども含まれるので、その企業の車庫や倉庫などに出入りするクルマも居住者車両として通行可能です。
意外なところでは、政治活動用のクルマも通行できるようです。
平成25年第四回都議会定例会において、「該当宣伝などのために政治活動用車両を走らせてもよいのか」という旨の議員からの質問に対し、次のように回答されています。
「『政治活動用車両』については、それが規制区間内又は規制区域内において政治活動に関する街頭宣伝を行うために出入りする場合には、規制区間内又は規制区域内を所用のため出入りするものであることから、『居住者用車両』に該当するものと解しています」
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