モデル末期のスズキ「スイフトスポーツ」なぜMTを継続する? マツダは一気にMT減少!? 「MTあり/なし」それぞれの事情とは

マツダは一気に4モデルのMT車を廃止!? なぜ?

 その一方で6速MTを廃止した車種もあります。

 マツダはスポーツカーの「ロードスター」のほか、「マツダ2」と「マツダ3」に6速MTを用意しますが、「CX-3」「CX-30」「CX-5」「マツダ6」については、以前設定のあった6速MTを廃止しました。

 他社ではトヨタ「カローラセダン/ツーリング/スポーツ」の6速MTを廃止。その反面、継続生産型の「カローラアクシオ/フィールダー」には5速MTがあります。

 どのような理由に基づいて、MTを扱っているのでしょうか。

2023年10月に廃止されたマツダ「CX-5」のMT車
2023年10月に廃止されたマツダ「CX-5」のMT車

 まず廃止する理由はシンプルで、売れ行きが低調だからです。スポーツモデルを除くと、MTの販売比率は大半の車種が10%以下です。それでも1か月に1万台売れる車種の5%であれば500台ですが、1か月に1000台の5%では50台に過ぎません。「その車種の販売総数×販売比率」で、売れ行きが低迷すると廃止されるといえます。

 例えばマツダ6は、2023年の1か月平均販売台数が約200台でした。MTの販売比率は10%以下でしたから、MT車を用意しても1か月に20台程度しか売れません。これでは商品として成り立たず廃止されました。

 逆にトヨタ「ヤリス」は、SUVの「ヤリスクロス」やスポーツモデルの「GRヤリス」を除くと1か月平均で約7800台が登録されています。

 GRヤリスはもちろんですが、通常のヤリスにもMTが設定されていて、MTの販売比率が5%だったとしても390台が販売されるため、商品として成り立ちやすいです。

 新型車などにMTを設定する理由もさまざまです。最も分かりやすいのは、スイフトスポーツのように運転する楽しさを重視した車種です。

 シフトレバーとクラッチペダルを操作する変速も、運転を楽しむ要素に含まれてMTが設定されました。

 ヤリスは、それまでの「ヴィッツ」に比べて、商品力を高めることを狙って開発。実用的で安価なコンパクトカーではなく、運転感覚の楽しい上質なクルマを目指したのです。

 そして販売台数も多いため、6速MTが用意されました。

 トヨタの販売店では、観点の異なる話も聞かれました。

「昔からMT車に乗ってきたベテランのお客さまは、今でもMT車が運転しやすいと言います。カローラアクシオやフィールダーを買うのは主に法人のお客さまですが、それでも時々5速MTを希望されます」

 スイフトの開発者は以下のようにコメントしました。

「新型スイフトでは、中級グレードの(マイルド)ハイブリッドMXに、5速MTを用意しました。これは燃費対策です。

 5速MTのWLTCモード燃費が25.4km/Lと優れているからです」

 スイフトは全般的に燃費が優れていますが、マイルドハイブリッドのCVT(無段変速AT)は24.5km/Lで、5速MTは前述の25.4km/Lです。走りが楽しいということに加え、燃費性能を向上させるためのMTというわけなのです。

※ ※ ※

 MTを設定する車種には、何らかのニーズがあります。スポーツモデルだからMTを設定することで運転の楽しさが一層高まる、ユーザーがMTに慣れているからATでは不安が伴う、MTならば燃費性能を向上させられる(ただしCVTの方が燃費の優れた車種も多いです)、という具合です。

 逆にこれらのニーズのないMT車、あるいは販売台数の極端に少ないMT車は廃止されます。

 なお、MTには、急発進事故を発生させにくい特徴もあります。

 ATは運転しやすい代わりに、アクセルペダルを深く踏むだけで急発進しますが、MTでは通常の発進をする時でも、アクセルペダルとクラッチペダルを複合的に上手く操作することが求められます。

 急発進させるには相当なテクニックが求められ、運転ミスに基づく急発進はほとんど考えられません。

 以前はステアリング操作に集中できるAT車がMT車よりも安全といわれましたが、今のように急発進事故が増えると、逆のことも考えられるでしょう。

 頭や体が衰えて運転の適性に欠けると、シフトレバー/クラッチ/アクセルの操作に戸惑って、車両を発進できなくなるからです。クルマに乗る度に、MTの正確な操作と発進という、適性テストを受けることになるわけです。

【画像】「えっ…!」これが「スイフトスポーツ」の6速MTです! 画像を見る(24枚)

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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2件のコメント

  1. >> まず1991年にAT限定の運転免許が創設され、AT限定のドライバーはMT車を運転することできないため、MT車の売れ行きが減少しました。
    またいい加減調査もせずに書くのは如何かな?AT限定免許出来た背景は、乗らないのに自動車学校でMTで講習受けても役に立たない。自家用車のAT普及がかなりの数になってきた背景からAT限定免許をという声が上がった。

  2. MT無くなった時点で売れなくなるからだよ。
    わかるだろ。クソ記事。

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