デビュー7年でも販売好調! マツダの「定番SUV」なぜ人気? 「CX-5」が最新「CX-60」より売れてるワケとは

ほかのマツダSUVよりもCX-5はお買い得!?

 ほかの理由はどうでしょうか。

 価格が割安なこともCX-5の特徴です。CX-60も後輪駆動の上級SUVの中では求めやすい部類ですが、CX-5はさらに安く、価格はコンパクトSUVの「CX-30」に近いです。

 CX-5のエンジンは、2リッターおよび2.5リッターのガソリン、2.2リッターのクリーンディーゼルターボの3つを設定。

 買い得グレードは「ブラックトーンエディション」で、クルージング&トラフィックサポート、10.25インチセンターディスプレイ、運転席の電動調節機能、前席シートヒーターなどを標準装着しています。

特別仕様車「CX-5 レトロスポーツエディション」
特別仕様車「CX-5 レトロスポーツエディション」

 2WDの価格は、2リッターガソリンエンジンを搭載する「20Sブラックトーンエディション」が323万9500円、2.2リッタークリーンディーゼルターボの「XDブラックトーンエディション」は355万8500円です。

 コンパクトSUVのCX-30にもブラックトーンエディションが用意されます。運転席の電動調節機能や前席シートヒーターなどのセットオプション(6万6000円)を加えてCX-5と条件を合わせると、価格は2リッターガソリンエンジンのブラックトーンエディションが305万6900円となり、CX-5の価格はCX-30に比べて18万2600円の上乗せに収まります。

 また、CX-30の1.8リッタークリーンディーゼルターボは326万5900円(ブラックトーンエディション)で、CX-5のディーゼルエンジンのほうが29万2600円高いのですが、エンジン排気量が異なり、CX-5では2.2リッターに拡大されます。

 最高出力は1.5倍、最大トルクは1.7倍に増強され、CX-5はミドルサイズのボディを備える割に価格を安く抑えているといえるでしょう。

 CX-60はどうでしょうか。CX-5ブラックトーンエディションに相当する仕様は、「Sパッケージ」にクルージングトラフィックサポートなどを含んだセットオプション(19万2500円)、運転席の電動調節機能などを含んだセットオプション(8万2500円)を加えた仕様です。

 これらの装備を加えた合計価格は、CX-60に2.5リッターガソリンエンジンを搭載した「25S・S」パッケージの場合は349万8000円です。

 CX-5のブラックトーンエディションは323万9500円ですから、価格差は25万8500円でとなり、CX-60は後輪駆動を採用してガソリンエンジン排気量も2.5リッターとしながら、価格差は約26万円と意外に割安に感じられるかもしれません。

 しかしCX-60の2.5リッターガソリン車は、売れ筋ではありません。人気が高いのは3.3リッター直列6気筒クリーンディーゼルターボです。

 そこで、同エンジンを搭載する「CX-60 XD・Sパッケージ」に安全装備のセットオプション(14万8500円)を加えてCX-5ブラックトーンエディションと条件を合わせると、価格は396万円に達し、2.2リッタークリーンディーゼルターボを搭載したCX-5(355万8500円)に比べると約40万円高くなるのです。

 つまりCX-60の価格は、2.5リッターガソリンエンジン車であれば後輪駆動の上級プラットフォームを採用しながら割安ですが、売れ筋は直列6気筒ディーゼルです。そのために、結果的に直列4気筒ディーゼルを搭載するCX-5の買い得度が際立つというわけです。

※ ※ ※

 CX-5は、快適で実用的な室内空間を確保しながら、ボディは運転のしにくさを感じさせない大きさです。価格はガソリンエンジン車、人気のディーゼルエンジン車とも割安にしました。

 さまざまな要素をバランス良く造り込み、なおかつカッコ良くて運転の楽しいマツダ車らしさも明確に表現したことで、息の長い人気車になっています。

「優れた機能」「ブランドイメージの明確な表現」「割安な価格」は、好調に売れるクルマの3大条件です。CX-5はこれを満たしたことで、成功を収めているのです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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7件のコメント

  1. Cx-60が売れない理由の一つにサイズがあるけど、ハリアーなどめちゃくちゃ売れてるのを見ると、サイズではないと思う。
    ボンネットが長すぎてSUVとしてバランスが崩れてる気がする。
    昨今、多気筒が偉いという考え方は希薄になってて、6発にアドバンテージはないかな。

    • ハリアーは大きなプリウスである以外、特に大した装備も持たないのにあの値段で売れまくるのが凄い。みんなが買うから大丈夫だろうという安心感もあるのかもしれない。要はブランド力なんだろうな。

    • ハリアー(レクサスRX)が売れるのは、SUVの元祖、つまりオリジナルだから。
      ハリアーの前は、クロカン(RV)と呼ばれる本格的なオフロード車しか存在しなかった。
      世の中に有る全てのSUVは、ハリアーの模倣と言っても過言ではありません。

      オリジナルが売れるのは当たり前ですよ。

  2. 3.3Lディーゼルの税金が高すぎる

  3. 一番ちっこいのあるよね?
    あれ乗る人ってあんまり運転上手くない
    車間距離短いし、制限速度プラスで走ってるのに煽るしね
    まぁブルー免許がお似合いなのかな

  4. 不具合が多いことも。

  5. 確かに売れてますよね。街中でもよく見かけるし。CX60のデザインもカッコいいですが初期モデルのトラブルの多発がもったいないです。
    他社さんでもトラブルは沢山ありますしなんで悪口言い合うんでしょうね。良い車はきちんと褒めれば相乗効果で周りもどんどん良くなるのに。
    オルガンペダル、ディーゼル、優秀なAWD、ドライビングのしやすさ等、他社には無い強みが沢山あるので頑張ってほしいです。

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