レクサス新型「スポーツSUV」実車初公開! 1000万円超えの「めちゃド派手なRZ」3月発売!? 航空機技術活かして「走りの楽しさ」をどう表現?

思わずクルマ好きがニヤッとしてしまう「大人スポーツ」とは?

 そんなFスポーツパフォーマンスに一足先に試乗してきました。試乗場所は開発のホーム・下山テストコースの第3周回路ですが、試乗日は何と豪雨。ただ、この状況が逆にクルマの良さをより理解させてくれました。

 乗る前は見た目がかなりアグレッシブなので「乗り味はかなりハードなのかな?」と予想していましたが、いい意味で裏切られました。

 いきなり結論になってしまいますが、RZが目指した「The Natural」の乗り味を損うことなく、「より曲がる」、「より意のままに」、「より愉しく」、「より安心」な走りなのです。もう少し具体的に説明していきましょう。

 ステア系は滑らかな操舵フィールはそのままに薄皮1-2枚剥いだようなダイレクトさと直結感によりより骨太な印象です。

 最大の驚きはハンドリングで、ターンインではタイトコーナーがタイトに感じないくらいノーズがインを向く回頭性の高さ、旋回時は腰を中心に曲がる感覚と路面に張り付くような安定感を持ちながらもアクセルON/OFFでクルマの向きをコントロールできる自在性の高さ、そしてトラクションを掛けるとリアタイヤに荷重をグッと乗せて蹴り出す感覚を実感。

 例えるならば、SUVと言うよりも重量配分が整ったFRスポーツカーのような走行フィールに近いと感じました。

前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーを駆け抜けてもドキッとするような挙動は皆無
前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーを駆け抜けてもドキッとするような挙動は皆無

 ちなみに下山テストコ―スはニュルを模しているだけあり、前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーが存在しますが、そんな路面でもクルマの動きは終始ピターっと安定、雨のハイスピードドライビングでもドキッとするような挙動は皆無で、終始安心して走ることができました。

 これらはエアロパーツによる空力バランス改善と前後バランスを整えたサスペンションセットの相乗効果によるものですが、それだけでこんなに変わるとは驚きです。

 筆者は4つのタイヤの性能をより上手に使えるようになった事で、今回は変更されていないDIRECT4がより活きる素性になったと分析しています。

 やはりソフトを活かすにはハードが大事な事を再確認。ちなみにタイヤは電費や快適性も考慮した銘柄を履いていますが、今回の走行でグリップ力に不満を感じたシーンは1つもありませんでした。

  快適性は専用サスペンションや22インチの偏平タイヤなどから「さすがに厳しいか!?」と思いきや、スポーツモデルであることを考慮すれば高いレベルです。

 ノーマルと比べると引き締められていますが、カドが取れた入力や想像以上のストローク感と足の動きの滑らかさ、そしてバネ上のフラット感などから、速度域によってはノーマルよりも快適に感じるシーンも。

 恐らくクルマの無駄な動きを空力で抑えているため、サスペンションを必要以上に硬める必要がないのでしょう。

 Fスポーツパフォーマンスはノーマルと同じコンベンショナルなダンパーを使っていますが、今回の試乗した限りではAVS(電子制御ダンパー)の必要性は感じませんでした。

「BEV=無音」ではなくASCなどを活用した「音」のチューニングも期待したい所
「BEV=無音」ではなくASCなどを活用した「音」のチューニングも期待したい所

 パワートレインはRZ自体がそもそも暴力的な加速力は求めていないので、システム出力230kWのパフォーマンスに不満はありませんが、シャシ性能がレベルアップしているので欲が出てしまうのも事実です。

 個人的にはノーマル/ECOモードはそのままでいいですが、スポーツモードはモーター制御の自在性や出力の出しやすさを活かした“アメージング”な特性があってもいいかなと。

 更に「BEV=無音」ではなくASCなどを活用した「音」のチューニングも期待したい所です。

 総じて言うと、FスポーツパフォーマンスはRZの潜在能力を量産の域を超えてフルに引き出した実験的モデルですが、RZの世界観を損なうことなく、思わずクルマ好きがニヤッとしてしまう「大人スポーツ」に仕上がっています。

 限定100台はちょっと少ない気もしますが、このモデルの開発で培った知見やノウハウは、将来のカタログモデルにもフィードバックしてほしいです。

 RZシリーズが2026年に登場の次世代BEVへの繋ぎ手になってくれる事を期待します。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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2件のコメント

  1. この車はいつ見ても、間延びしたサイド(特に後部付近)がダサイデザインだよねー。後ろも知恵が足りない免許取り立て若造が喜ぶデザイン。

  2. ブランドとして成ってしまった以上、まるで正義のように言われるが、トヨタ・レクサスのデザイン力は低いよね。インパクトばかりですぐに陳腐化するし。

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