発売7年目のホンダ「フリード」なぜ販売好調? 価格の安さが最大の魅力!? 小型ミニバンの人気が絶えないワケ
現在、ホンダの新車のうち軽自動車「N-BOX」の次に売れているのがコンパクトミニバンの「フリード」です。登場から7年が経過したモデルですが、設計が新しい「フィット」「ステップワゴン」よりも多く販売されています。なぜ人気なのでしょうか
「フリード」は「N-BOX」の次に売れているホンダ車
かつてのホンダは、「NSX」や「S2000」に代表されるスポーツカーのイメージが強いメーカーでしたが、最近は印象が変わりました。今の国内市場で、新車として最も多く売られているホンダ車は、軽自動車の「N-BOX」です。
N-BOXの2023年1月から11月の1か月平均届け出台数は、約1万9250台で、国内の新車販売では最も多い台数を誇り、国内で売られるホンダ車の39%でした。ホンダの新車販売台数の3分の1以上がN-BOXとなっているのです。
そして2番目に多く売られたホンダ車は、コンパクトミニバンの「フリード」です。2023年1月から11月の1か月平均登録台数は約6440台で、N-BOXの3分の1ですが、ホンダ車ではN-BOXの次に多く販売されています。
ちなみに、ほかのホンダ車の1か月平均登録台数(軽自動車は平均届け出台数)は、「フィット」が4800台、「ヴェゼル」が4750台、「ステップワゴン」は3620台、軽自動車の「N-WGN」が3210台です。
フィットとステップワゴンが2020年、ヴェゼルが2021年にフルモデルチェンジした一方、現行フリードの発売は2016年。これら3モデルに比べて設計が古いにもかかわらず、ホンダで2位の売り上げとなっているのです。
フリードのハイブリッドシステムは、ステップワゴンやフィットなどに使われる「e:HEV」ではなく、旧式のスポーツハイブリッド「i-DCD」です。
そのため、2WDのWLTCモード燃費は、コンパクトミニバンのハイブリッドなのに20.9km/Lに留まり、ボディの大きなステップワゴンの「e:HEVエアー」の20.0km/Lと同程度です。
安全装備も備わっているものの、フィットには後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーションなどが用意されますが、フリードでは選べません。
燃費と先進安全装備は急速に進歩している技術ですから、発売から7年も経たフリードは不利になります。
それでもフリードが好調に売れている理由は何でしょうか。
販売店に聞いてみると、次のようにいいます。
「フリードの人気が高い一番の理由は、価格の安さです。ステップワゴンは一番安価なガソリン車のエアーが300万円を超えますが、フリードなら約230万円から選べます。大雑把に見て約100万円安いです。
またフリードは5ナンバー車なので運転しやすいです。現行ステップワゴンは全車が3ナンバー車となり、フリードのメリットが際立っています。
全長が4300mm以下のコンパクトミニバンなのに、全高は1700mmを上まわって外観が立派に見えることも人気の理由でしょう。このほか納期が約2か月と短いことも挙げられます」
では、どのようなユーザーがフリードを買っているのでしょうか。
「ミニバンということでファミリーのお客さまが中心で、子供が生まれるなどライフステージが変わってN-BOXやフィットからフリードに乗り替える場合があります。
また上級ミニバンのお客さまも多いです。子育てを終えて、ステップワゴンや『オデッセイ』は不要になったけれど、フィットでは天井が狭く車内も狭いといった理由でフリードを購入することもあります」(ホンダの販売店スタッフ)
つまりフリードの売れ方には、N-BOXを始めとする軽自動車からのアップサイジングと、ステップワゴンやオデッセイからのダウンサイジングがあるというわけです。
しかも現在新車で購入できるモデルのうち、全長が4300mm以下に収まる5ナンバーサイズのコンパクトミニバンは、フリードとトヨタ「シエンタ」だけです。
ミドルサイズではステップワゴンとトヨタ「ノア/ヴォクシー」が3ナンバー専用車になり、5ナンバー車は日産「セレナ」の標準ボディのみという状況でで、コンパクトミニバンは需要が多い割に車種が限られ、設計が古くなったもののフリードが好調に売れているのです。
安くは無いですけどね!