発売7年目のホンダ「フリード」なぜ販売好調? 価格の安さが最大の魅力!? 小型ミニバンの人気が絶えないワケ

フルモデルチェンジは2024年か? どんなモデルになる?

 販売店スタッフがいうように、コンパクトなボディなのに外観が立派なことも高い人気の理由でしょう。

 ライバル車のシエンタは2022年に発売され、フリードに比べて設計も新しいですが、全高は1700mm以下で外観もワゴンに近いです。フリードは設計が古くても、外観のミニバンらしさで、堅調に売れている面もあります。

 ホンダのブランドイメージも以前に比べて変化しました。2023年1月から11月におけるホンダの国内販売状況を見ると、先に述べた通りN-BOXだけで39%を占めます。

 N-WGNなども含めた軽自動車全体になると54%に増えて、フリードも加えると67%に達します。軽自動車とフリードで70%近いのです。

ホンダ「フリード」
ホンダ「フリード」

 このような売れ方になった発端は、2011年に発売された初代N-BOXのヒットでした。

 2017年に2代目N-BOXが発売されると売れ行きがさらに伸びて、ホンダのブランドイメージにも影響を与え始めました。

 かつてのホンダは、冒頭で述べたようにスポーツカーの印象が強かったですが、N-BOXがヒットして軽自動車の販売比率も増えた結果、「小さくて背の高い実用的なクルマのメーカー」に変わってきたのです。

 そしてフリードは小さくて背の高い実用的なミニバンですから、いわばN-BOXの拡大版で、今のブランドイメージにも合っています。その影響もあり、設計の新しいフィットやステップワゴンよりも販売が好調です。

 フリードは現在、発売から7年を経過することもあり、2024年にはフルモデルチェンジをおこなう可能性が高いとみられます。

 販売店では「新型フリードが今年度中(2024年3月まで)に登場することはありませんが、2024年6月以降には一新される可能性が高いです」と言います。

 新型フリードでは、ハイブリッドシステムが現在のホンダ車に幅広く使われるe:HEVに変わり、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能も進化。3列目の腰が落ち込んで膝の持ち上がる着座姿勢や質感に不満を感じる内装なども改善されることでしょう。

 そうなると新型フリードもさらに好調に販売されることが予想されます。

※ ※ ※

 コンパクトSUVでは、ヴェゼルよりも天井が高く実用的で、価格の割安な新型「WR-V」が2024年3月に発売されます。

 そうなるとステップワゴンや国内販売を復活させたオデッセイ、「ZR-V」、「シビック」などの販売促進に相当な力を注がないと、ホンダの実用指向と低価格化はさらに進むでしょう。

 今のホンダは、商品戦略において、将来を左右する大切な判断を迫られているのではないでしょうか。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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1件のコメント

  1. 安くは無いですけどね!

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