800馬力「V10エンジン」搭載の「爆速ミニバン」!? ファミリーは乗れない? 車内にエンジンむき出しのド迫力仕様「エスパスF1」とは
「エスパスF1」の後席へ実際に乗ることはできたのか!?
前置きが長くなりました。
エスパスF1は、2代目へとフルモデルチェンジしていた3列シートミニバンのエスパスに、ウイリアムズが搭載していたF1マシン用、最高出力800馬力を誇るV型10気筒エンジンをミッドシップにマウントした、ルノーにとっても桁違いに常識はずれなモデルでした。
エンジンをミッドシップに搭載するのですから、当然乗員が乗るスペースが犠牲になります。
そこは動力性能を優先し、乗員スペースを削ったうえにシートをバケットシートとして、かろうじて4名が乗車できるスペースを確保しています。
ボディ骨格構造はカーボンファイバーを多用し、剛性と軽量化、そしてミニバンボディでは問題となる重心高の高さを抑制、さらにワイドなタイヤを装着するために、ボディの下半分をベース車とは全く異なる形状にしています。
800馬力を誇るエンジンが高回転を発揮した時には、乗員が吸気口に吸い込まれることこそないものの、車内騒音は想像もできないほどの「爆音」だったことでしょう。
もはやベースのエスパスとは無関係な、エスパス風のボディをまとったレーシングカーだったのです。
さすがにこれは、サンクターボやクリオルノースポールV6とは違い、純粋なショーモデルであり市販化はされませんでしたが、ボディのイメージはそのままにエンジンの搭載位置や駆動方式を変えることは、これまでのルノーの歴史を考えると少しも変なことではなかったのです。
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「大きなエンジンを搭載するので、人が乗る部分を小さくしました」
そんな非常識な要素を持ったモデルは、なかなか出てくるものではありません。
しかし、圧倒的なパワーで魅了するクルマの多くは、そんなアンバランスさから生まれてくるのかもしれません。
ハイパワーエンジン搭載車がイメージリーダーを務め、そのクルマの評判を高くすることはよくあることです。
ルノーエスパスF1の再来があるのかどうかはわかりませんが、そんな見る人の斜め上を狙ってくるクルマの再来はまだでしょうか。
外観がダサいので全てが台無し