日産の「和製スーパーカー」!? 300馬力超えV6「ミッドシップ」! パカッと開くヘッドライト採用の「MID4」とは
わずか2年で「フルモデルチェンジ」!?
MID4初公開から2年後の1987年10月に開催された第27回東京モーターショーでは、1985年出展モデルとは全く別のMID4(通称MID4 II)を参考出品します。
前回の“初代”から大きく進化したデザインやパワートレインを搭載したこともあって、再び大きな話題を呼びました。
MID4 IIのボディサイズは全長4300mm×全幅1860mm×全高1200mm、ホイールベースは2540mmです。
2代目はアルミボディ化。当時の資料によると車両重量は1400kgと記載されており、スーパースポーツながら軽量化にも配慮されていたことがうかがえます。
搭載されるパワートレインも大幅にパワーアップ。
最高出力330ps、最大トルク39.0kgf-m(382Nm)を発揮する3リッター V型6気筒「VG30DETT」型DOHC インタークーラー付ツインターボエンジンへ増強されました。
さらにエンジン搭載位置も、イタリアのスーパーカーが採用する本格的な縦置き式レイアウトへ変更されている点も注目されます。
駆動方式は、ビスカスカップリング付センターデフ式フルタイム4WDで、サスペンションは前がダブルウィッシュボーン式、後ろが新開発のマルチリンク式で、初代同様にHICASと組み合わされます。
当時の日産はMID4 IIについて次のように説明しています。
「(MID4は)運動性能を追求することを目的とした研究実験車として、実用レベルの最高技術を結集してレベルアップを図り、動力性能、高速時の操縦性・走行安定性、旋回性能などハイレベルの運動性能を実現しています」
実際にMID4 IIは、“研究実験車”として走行可能な車両が複数用意されていました。
試験走行のほか、自動車メディア向けにテストコースで試乗会も開催。初代以上に市販化の噂がかなり盛り上がりをみせました。
前出の関係者によれば、実際に社内で市販化の検討も行われたといいます。
しかし残念ながら計画は中止され、開発された最新技術が1989年に相次いで登場した「スカイラインGT-R」(BNR32型)や「フェアレディZ」(Z32型・4代目)に生かされています。
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ホンダは1989年、V型6気筒エンジンを積んだ「アキュラ NS-X」をモーターショーに出展し、1990年には「NSX」名で市販化したほか、トヨタも「MR2」を販売するなど、国産各社がMRレイアウトのスポーツカーに取り組んでいた時代でした。
もし日産がMID4を市販化していたら、NSXがそうだったように世界のスーパースポーツカーの勢力図に影響を与えていたかもしれず、さらには日産の4WDスーパースポーツカーとして2007年に発売を開始した「GT-R」(R35型)も登場していなかったかもしれません。
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