あなたは知ってる? 話題の「ライドシェア」はカーシェアと何が違う? 日本でも盛り上がるビジネスモデルとは
日本には既に、様々な「ライドシェア」が存在していた?
一方で、こうした海外発のライドシェアだけではなく、日本ではすでに、さまざまなライドシェアが存在しているのです。
代表的な事例は、大きく2つあります。
ひとつが、地方部などでよく見かける乗合タクシーです。
全国ハイヤー・タクシー連合会によれば、現在全国で約4900コースあり約1万5000台が運用されるなど、広く普及しています。
これらは、タクシーやバスの事業者が自治体等の要請を受けて実施するものです。
最近では、AI(人工知能)を活用したオンデマンド方式も全国各地で導入が進み始めているところです。
もうひとつが、自家用有償旅客運送です。
白ナンバーの自家用の乗用車で、二種免許を持たない一般ドライバーが運賃を有償でもらう、タクシーのような旅客の仕組みという意味があります。
路線バスが廃止されたり、タクシーを呼んでも迎えに来るまでかなりの時間がかかるなどの「交通空白地域」と、福祉を目的とした場合に限り運用が認められています。
運用の主体は、市町村などの自治体、または地域住民や交通事業者らが協議して設立するNPO法人となります。
国土交通省によると現在、自家用有償旅客運送は、交通空白地域で670団体・4304車両、また福祉では2470団体・1万4456車両となっています。
このように、日本固有のさまざまなライドシェアが存在しているのです。
国としてもタクシーや自家用有償旅客運送に対する規制緩和を行なうことが、特に地方部や過疎地での地域交通を下支えすることにつながると見ています。
一方で、京都、箱根、鎌倉などインバウンド観光客の多い観光地や、東京や大阪などの都心についても、ライドシェアの必要性について国は議論を重ねているところです。
ただし、全国ハイヤー・タクシー連合会によると、インバウンド観光客の数が2025年の政府目標である年間3000万人、またはその倍の6000万人に達しても、タクシーの全需の数%程度にとどまる見込みのため、タクシー事業を今後さらに改善することで十分対応は可能だとの見解を示しています。
改善策の切り札のひとつが、23年10月から実施する「ニセコモデル」です。
北海道のニセコは冬場にインバウンドを主体に観光客が急増します。
そうした期間に限り、東京や札幌からタクシーとタクシードライバーの援軍を出すという仕組みです。
通常、タクシーは営業区域が定められていますが、タクシー協会や地元自治体などが連携した特例として実証を行ないます。
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また、都市部については、運賃改訂をしたことで歩合制であるタクシードライバーの成り手が確実に増加し始めています。
さらに、二種免許取得に要する期間短縮や、在留資格のある外国人に対する二種免許試験の多言語化などの規制緩和について、警察庁に申し入れをしていると言います。
そのほか、固定給によるパートタイムのタクシードライバー方式についてもすでに実用化しており、応募者が増えているとのことです。
以上のように、日本では今後、タクシー事業と自家用有償旅客運送に対するさらなる規制緩和が急務であり、それに加えて欧米型のライドシェアを組み込むかどうかいついて、国や都道府県におけるさらなる議論が必要だと感じます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
ライドシェアなんか安全面でこわすぎて乗れない。解禁には絶対反対。
またタクシー業界への不当な弾圧になる。人の仕事を奪うな。