トヨタ新型「アルファード」なぜ発売早々に受注停止? 半導体不足だけじゃない!? 長納期化する本当の理由とは?

納期遅延はほかのメーカーでも深刻

 ほかのメーカーでも納期遅延がおこっており、ホンダは「シビックタイプR」の注文ができない状態になっています。同車の納期は約3年にも及ぶとされていて、受注再開の時期は未定です。

 新型アルファード/ヴェルファイアに比べると、シビックタイプRの販売台数は少ないですが事情は似ています。

 ホンダの販売店は「受注を停止している間に、購入希望のお客さまが増えました。その結果、短期間で受注を停止したり、抽選販売になるのです」と述べています。

納期3年ともいわれるホンダ新型「シビックタイプR」
納期3年ともいわれるホンダ新型「シビックタイプR」

 納期遅延や受注停止の理由として、新型コロナウイルス以外に、元々の生産/販売規模が少ない場合もあります。

 シビックタイプRの場合、国内月販計画は400台と少なく、需要に対して供給が追い付かずに受注を停止しました。

 このほか、2018年に発売されたスズキ「ジムニー」も、登場から5年が経過した今でも納期が一貫して1年から1年半に達しています。

 受注の停止には至っていませんが、この納期遅延も国内仕様の生産規模が根本的に不足していることが原因。

 生産規模を増やせば良いのですが、数年後に需要が下がった時に過剰な生産設備を持つことになり、従ってどのメーカーも増産に踏み切れないのです。

 納期や受注の停止状況は、販売会社によっても異なります。なぜなら、販売会社に応じて割り当てられる受注台数が異なり、なおかつ地域によってその車種のニーズにも違いが生じるからです。

 割り当てられた台数の割に受注が少ない販売会社では、納期も遅延しにくく受注の停止も発生しづらいです。

 納期の遅延や受注の停止について、各メーカーとも有効な対策を講じられない状態が続いていますが、トヨタではグレードの数を抑えたり段階的に受注や生産を開始しています。

 例えば「クラウンクロスオーバー」は、「アドバンスト」の名称が付くグレードから生産を開始しました。

 新型アルファードと新型ヴェルファイアは、注文できるグレードを上級仕様に絞ったほか、ボディカラーもアルファード3色、ヴェルファイア2色と最小限としています。

 それ以外の仕様を希望するユーザーは、今後追加される仕様を待つことになりますが、この方法であれば納期は短縮しやすいです。

 このようにさまざまな策を講じたものの、実際には想定以上の注文が集まったことで納期の遅延が収まらず、受注を停止せざるを得ない状況に陥っています。

 ユーザーとして有効な手段はなく、納期や受注状況が正常に戻るまで、現在所有している車両を大切に使うしかなくなるわけですが、そうなると最初に登録や届け出をおこなってから13年を超える場合もあるでしょう。

 13年を超えた車両は自動車税や自動車重量税が重課されることになるのですが、その意味でも増税はやめるべきです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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