なぜ日本メーカーは「軽EV」に注力? 5社が軽商用EV市場に参戦! メリットと懸念点とは
軽商用BEVのメリットと懸念点とは
また、自動車メーカーにとっても軽商用BEVを投入するメリットは大きいようです。
乗用のBEVがターゲットとする一般のユーザーは、一回あたりの走行距離やクルマの使用頻度が多岐にわたるため、現状はそれらのニーズをすべて満たすことは難しいのが実情です。
一方、軽商用車の多くはルート配送など限られた地域の移動に用いられており、極端なロングドライブを想定する必要はまずありません。
そのため、一定以上の航続距離を確保できれば、多くのユーザーのニーズを満たすことが可能です。
また、限られた地域のみを走行するということは、自宅や営業所以外の充電場所も、事前に調査しておきやすいことを意味しています。
ただ、そのなかでも大きな課題となるのは、やはり軽商用BEVの経済性です。
燃料代(電気代)については、夜間電力を活用するなどすることでガソリン車よりも優位に立つことができると考えられます。
しかし、車両価格についてはガソリン車をしのぐことは容易ではありません。
たとえば、クルマに先駆けて商用電動バイクをリリースしているホンダの場合、ガソリン車の「ベンリィ」が24万2000円であるのに対し、そのBEV版である「ベンリィ e:I」は36万3000円と1.5倍も高額です。
実際には補助金などが得られるためその差はさらに小さくなりますが、経済性が最優先される商用車において、BEVは車両価格が高額になりやすい点がネックとされています。
ただ、そうした点も、今後BEVが普及すればするほど改善していくものと考えられます。
なにより、日本の自動車メーカーにとって「カイゼン」によるコスト低減はまさにお家芸であり、最もノウハウが発揮されるところです。
もちろん、すべてのクルマがBEVとなるのはまだまだ先のことですが、これらの軽商用BEVが登場することで、日本のBEV普及率は大きく向上すると考えられます。
そういった意味では、2024年が「軽商用BEV元年」と呼べる年になるかもしれません。
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自宅や営業所などに充電場所を確保できた場合、「ガソリンスタンドに行かなくてもよい」という点もBEVのメリットとなります。
特に、配送数が収入に直結することの多い配送業のユーザーなどにとって、この点は大きな魅力です。
軽商用BEVを導入するかどうかを判断する際には、車両価格やランニングコストだけではなく、給油による機会損失がどの程度あるのかについても考慮する必要がありそうです。
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