トヨタ「センチュリー」の購入に違法性はあった? 「貴賓車裁判」の結末は? 何が争点だったのか

山口県がセンチュリーを公費で購入したのは違法であるとして、元県職員の男性が村岡嗣政知事に損害賠償を求めた裁判に対して、広島高裁は2023年10月4日付けで原告の上告を棄却しました。これにより、村岡知事によるセンチュリーの購入は妥当であったとする広島高裁の判決が確定しました。争点はどこだったのでしょうか。

「センチュリー貴賓車裁判」の結末は…

 山口県が「貴賓車」としてトヨタ「センチュリー」を購入した件の違法性を争っていた件で、県側の勝訴が確定しました。
 
 この裁判のポイントとなったのはどのような点なのでしょうか。

トヨタ「センチュリー」は誰もが認める貴賓車
トヨタ「センチュリー」は誰もが認める貴賓車

 山口県がセンチュリーを公費で購入したのは違法であるとして、元県職員の男性が村岡嗣政知事に損害賠償を求めた裁判に対して、広島高裁は2023年10月4日付けで原告の上告を棄却しました。

 これにより、村岡知事によるセンチュリーの購入は妥当であったとする広島高裁の判決が確定しました。

 当初、山口地裁によって村岡知事に全額の支払いを命じる判決があったこの裁判ですが、最終的には山口県側の逆転勝訴となりました。

 そもそもこの件は、2020年4月1日に山口県がセンチュリーを新車で購入したことに端を発します。

 一方、2019年9月の時点で山口県は、県議会議長用の公用車と副議長用の公用車に加え、「貴賓車」として利用されるものを含めた、計3台のセンチュリーを保有していました。

 しかし、副議長用のものは県が定めた更新基準を満たしていたため、新たに購入されたセンチュリーと入れ替えられることになりました。

 また、「貴賓車」のセンチュリーは購入から17年が経過していたことから、同じタイミングで処分されることになりました。

 その結果、残る2台のセンチュリーは国内外の要人が来訪した際の「貴賓車」として県が管理することになりましたが、来賓対応がない場合は議長および副議長の送迎に使用されることになります。

 こうした状況に対して、原告は「そもそも、国産最高級車であるセンチュリーを購入する必要はなかった」と訴えました。

 その根拠として、宮内庁では県に対して車種の指定をしたことはないことや、リースやハイヤーを使用するという方法もあったこと、あるいは別の車種を選ぶという方法もあったことなどを挙げています。

 さらには、議長および副議長の送迎に使用される機会が多かった点についても指摘しています。

 これに対し、広島高裁ではこれまでセンチュリーが「貴賓車」として長く使用されてきた実績があることや、リースやハイヤーでは安全面やセキュリティ面で懸念が残ることを理由に、原告の訴えを退けました。

 また、当初は3台のセンチュリーを保有していたのに対し、「貴賓車」と議長および副議長の公用車を兼用とする2台体制としたことも、コスト削減も含めた合理的な判断と認められたようです。

 さらに、「貴賓車」として使用される機会が少なかったことも、新型コロナウイルス感染症の影響によるものであり、センチュリーの購入時点では予期し得なかったものであるとされました。

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