マツダ新型「コンパクトスポーツカー」初公開! ロータリーエンジン&パカッと開くライト採用! 市販化の可能性と込められた思いとは
「マツダ アイコニックSP」市販化の可能性は?
では、その中身はどうか。マツダは「ロータリー・エンジンを活用した、2ローターRotary-EVシステム」であり、充電可能なバッテリーも搭載されていると説明します。
2ローターというのは、オムスビ型のロータリー・エンジンを2つ重ねたもののこと。かつてのRX-7やRX-8と同じ方式で、小さく軽いことが特徴です。

これをフロントのなるべくクルマの中央部に置き、後に駆動用のバッテリーを積むことになるようです。これほど車高が低ければ、床下にバッテリーを並べることは不可能ですから、当然というか必然のレイアウトでしょう。
これにより、重量の前後バランス50:50を実現します。車両重量は1450kg。1000kgちょっとの「ロードスター」や、1200kg台の「GR86」「RX-7」よりも重いものの、4気筒で1400kg台、6気筒で1500kg台の「GRスープラ」とは同等。ましてやEVと考えれば、存外の軽さです。
この軽さに対して、モーターの最高出力は370馬力と発表されています。パワーウェイトレシオは3.9kg/PS。これは非常に優れた数値で、「ロードスター」どころか、「GR86」や「RX-7」、さらには「GRスープラ」にも勝ってしまいます。
流麗で低くワイドなボディは前後重量配分に優れ、そしてEVとしては非常に軽く、そして速い…ということになります。
ちなみに、「2ローターRotary-EVシステム」の詳細は発表されていません。ただ、カーボンニュートラル燃料でエンジンを回し、再生可能エネルギーの電力で充電すれば、カーボンニュートラルの走行が可能になると説明しています。
ただし、このシステムにはヒントが存在します。それが、すでに発売されている「MX-30 ROTARY-EV」です。これもロータリー・エンジンとモーター、バッテリーを組み合わせたマツダ独自のシステムです。
これと同じであれば、ロータリー・エンジンで発電し、その電力でモーター駆動することになります。近距離は充電した電力で走るEV、長距離は燃料を使ったシリーズ・ハイブリッドとして使うことができます。
また、このシステムは、高額なリチウムイオン・バッテリーをたくさん使わなくてもよいというメリットがあります。これにより、価格高騰と重量増を抑えることが可能です。
こうしたシステムのメリットをアイコニックSPは利用して生まれたとも言えるでしょう。ある意味、この姿を実現するための技術的な裏付けが、しっかりと用意されているというのもポイントになります。
最後に、このモデルは量産化されるのかという点です。
デザイナーの高橋さんは「あくまでもデザイン・スタディという位置づけ。量産化がどうこう言えるものではありません」とは言います。
とはいえ、技術的に無理なわけではありませんから、市場からの要望の声が大きければ、検討の余地もあるのではないでしょうか。今後の動きに期待したい1台です。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。
















































































