ホンダ新型「N-BOX」なぜ標準仕様のターボ車を廃止? パワフル&低燃費でも「あまり売れなかった」意外な理由とは
標準仕様でもターボ車を選べる軽はごく少数
先代N-BOXでは、価格設定のわかりづらさが標準仕様のターボ車があまり売れなかった原因のひとつとなったわけですが、その点、ダイハツ「タント」はわかりやすいです。
標準仕様に用意される「Xターボ」の価格は161万7000円。「X」の150万7000円に比べて11万円の上乗せに抑えました。
Xターボに加わる装備は、本革巻きステアリング程度ですから、ターボの正味価格は約10万円です。ターボの正味価格はN-BOXの約7万円よりも高いですが、自然吸気エンジンとの価格差が少ないためにユーザーは選びやすいでしょう。
ターボXの価格も161万7000円で、先代N-BOX Lターボの179万8500円に比べると約18万円安いです。そのために販売も堅調で、ダイハツの開発者は「タントの販売総数の約20%はターボが占めています」と述べています。
軽自動車のターボが選ばれにくい理由として、価格の分かりにくさだけでなく、ターボの特性の認知度が低いことも挙げられます。
先に述べたように、動力性能が大きく高まる割に燃費の悪化率が少ないことは、あまり知られていません。
ターボは、カスタムなど上級シリーズの専用メカニズムになりつつあり、軽スーパーハイトワゴンで標準仕様にターボを用意するのはタント程度。スズキ「スペーシア」や日産「ルークス」では選べません。
軽自動車のターボはもう少し注目されても良いでしょう。
タントXターボは、先に述べた通り価格が161万7000円と割安で、WLTCモード燃費は21.2km/L。コンパクトカーでハイブリッドを搭載するホンダ「フィット」や日産「ノートオーラ」の4WD仕様に近い数値を達成しているのです。
軽自動車のターボは、十分な動力性能と、優れた環境性能を両立させて、価格を割安に抑えた買い得な機構なのです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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