トレンドは「丸」から「角」へ!? 気付けば増えてる「カクカクしたクルマ」 再びウケてる「3つの理由」とは

四角いデザインが支持される理由とは

 四角いデザインが支持される理由のひとつとしてまず考えられるのは「流行性」です。

 クルマのデザインは、時代に合わせて常に進化・発展・変動を遂げてきました。

写真は1984年デビュー当時のトヨタ「ランドクルーザー70」
写真は1984年デビュー当時のトヨタ「ランドクルーザー70」

 第二次世界大戦前の1930年代には、それまで独立していたフェンダーが車体に埋まりはじめ、1950年代にボンネットと一体化しました。

 1960年代に入ると、クルマのカドが立ち始めて、セダンはより一層「箱」を組み合わせたような姿に。

 しかし1960年代後半から1970年代半ば、「コークボトルライン」と呼ばれる、曲線を多用した抑揚の強いフィルム、アクが強いディティールのクルマが大流行するも、このムーヴメントは一過性で終わり、1970年代末には、再び四角いクルマの時代に戻りました。

 そして1980年代に入ると、フェンダーのカドからウィンドウグラフィックに至るまで、直線定規で線を引いたような、直線基調でカクカクしたデザインのクルマが続々と登場しました。

 1980年代後半になると、ほどよく四角く、かつマイルドなデザインへと発展。なかには「流面形、発見さる」というキャッチコピーで有名なトヨタ「セリカ」(4代目)のように、ヌルヌルした面を与えられたクルマも出始めています。

 1990年代から2000年代では、曲線主体のデザインに流行が移行し、ディティールの処理も次第に複雑になっていきました。

 前出のラシーンはそのような時代に登場し、当時から「レトロなデザイン」と評されていました。

直線基調の懐かしいデザインだとして、1990年代当時も異端の存在だった日産「ラシーン」
直線基調の懐かしいデザインだとして、1990年代当時も異端の存在だった日産「ラシーン」

 2010年代から現在になると、ボディは流れるようなフォルムで、ディティールはシャープ……というデザインが主流のひとつになりました。

 さらに環境意識の高まりとともに、燃料消費を低減させる空気抵抗の少なさは、開発要件の中で重要な役割を果たすようになっています。

 こうしたことから、世界各国の自動車メーカーは、今も凝った曲面を組み合わせた滑らかで複雑な造形を競い合っている状況です。

 そんな一方で、カクカクしたデザインもまた新たな流行のトレンドとなり始めています。

 余談ですが、若者の間で1980年代の日本ではやった“ニューミュージック”と呼ばれる音楽ジャンルが、「シティポップ」としていま世界的に密かなブームとなっているようです。

 音楽の流行と同様に、1980年代の価値観がカーデザインの世界でも再発見された格好ともいえます。

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