なぜ日産とホンダは「高級ブランド」を日本展開しない? 「既にクルマは売ってるのに…」 トヨタの歴史に見る新規参入の難しさとは
トヨタは高級ブランドとして「レクサス」を2005年から日本で展開しています。一方で日産とホンダもインフィニティとアキュラを海外で展開していますが、日本展開はしていません。日産・ホンダとトヨタではどのような違いがあるのでしょうか。
モデルとしては日本導入を果たしているインフィニティとアキュラ
インフィニティとアキュラは、それぞれ日産とホンダがおもに北米を中心に展開しているプレミアムブランドです。
一方で同時期に誕生したトヨタのプレミアムブランドであるレクサスが2005年に日本導入を果たしています。
では、なぜインフィニティとアキュラは日本へと導入されないのでしょうか。
北米市場向けのプレミアムブランドとして誕生した1989年に誕生したレクサスは、2005年に日本国内へと導入されました。
そこからおよそ18年が経過した現在、レクサスは日本市場のなかで一定の地位を得るまでに成長しています。
一方、日産とホンダも同時期にインフィニティとアキュラというプレミアムブランドを北米で立ち上げたものの、これまで日本国内へと導入されてはいません。
しかし、インフィニティ「Q50」は日産「スカイライン」として販売されているほか、一時期、インフィニティのエンブレムを採用して販売されていました。
ホンダでは2022年まで販売していた「レジェンド」はアキュラ「RLX」、2022年で生産終了した「2代目NSX」はアキュラ(北米ホンダ)主導で開発されたなど、それぞれ日本仕様車と言えるものです。
つまり、インフィニティやアキュラは、ある意味ですでに事実上の日本導入を果たしているとも言えます。
また、レクサスが日本へと導入された背景には、輸入車のシェアが増加していたことと大きく関係しています。
トヨタ「センチュリー」を別格とすれば、当時のトヨタはレクサス「LS」の国内版である「セルシオ」、そして国産高級車の代名詞である「クラウン」がラインナップに君臨していました。
一方、より上質なものを求めるユーザーは欧米ブランドの輸入車へと流れてしまっていたことから、レクサスブランドを導入することで対抗する必要がありました。
現在では輸入車の垣根はさらに下がっており、輸入車を選びやすい環境がさらに整っています。
逆に言えば、現在はインフィニティやアキュラを導入するのに最適なタイミングであると考えることができます。
実際にアキュラに関しては、かつて日本へ導入される計画がありました。
2005年、ホンダは当時の国内販売チャネルであった「プリモ」「クリオ」「ベルノ」を統合し「ホンダ」とすることを発表した際、アキュラを2008年秋に導入することも合わせて発表しています。
しかし、2008年に起こったいわゆる「リーマン・ショック」による業績悪化の影響にくわえ、当時の日本が軽自動車や小型車中心の市場へとシフトしていたことなどから、アキュラの導入は白紙となってしまいました。
それでも、ホンダはアキュラの日本導入をあきらめてはいないと思われる出来事もあります。
2023年6月には、ホンダの青山本社にアキュラ「インテグラ」および「インテグラ タイプS」を同社の75周年記念として展示し、多くのユーザーを驚かせていました。
またインフィニティは2020年にグローバル本社を香港から横浜に移転しており、そのタイミングで日産グローバル本社ギャラリー内にインフィニティラウンジという常設展示を設けています。
この際にインフィニティ担当者は「インフィニティは国内で販売していないこともあり、なかなかブランドやクルマにふれる機会や情報が届かないこともあったので、『日本発のブランド』をお届けしたかったというのが目的でインフィニティラウンジを作りました」と話してました。
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こうした動きもあり、依然としてインフィニティとアキュラが日本市場に導入されるのではないかという噂は絶えないのです。
では、インフィニティとアキュラが日本市場に参入しない背景にはどのような要因が考えられるのでしょうか。
まず言えることは企業体力。そして商品企画力の差。レクサス母体のトヨタは国内販売が13万台強。そしてレクサス店経営が地元のトヨタ店、トヨペット店であり十分経営が成り立っていた。しかしホンダ、日産は国内販売2万台。その中で別チャンネルのお店を維持していける車種があるのか?ここらあたりが国内軽視した両社に問題がある