幻の「巨大通行止め」トンネルに出現? 高速道路に導入された“新たな仕掛け”の狙いを聞いた
東海北陸道の飛騨トンネルに、「通行止」を投影で知らせる機器が導入されました。どのような狙いがあるのでしょうか。
飛騨トンネルに新たな仕掛け…その狙いは?
東海北陸道の長いトンネルに新しい仕掛けが加わりました。どのような仕掛けなのでしょうか。
東海北陸道は、愛知県一宮市と富山県砺波市を南北に結ぶ高速道路です。
2021年1月、この東海北陸道などで大雪により大規模な車両滞留が発生したことから、こうした事態を防ぐため、NEXCO中日本金沢支社は飛騨トンネルの下り線内に「通行止」の案内表示を設置し、運用しています。
飛騨トンネルは長さが10kmもあります。道路トンネルとしては国内3位の規模です。
東海北陸道の下り線(富山方面)を北上すると、長い飛騨トンネルを抜けてすぐの所に白川郷ICがありますが、その先が通行止めの時はトンネル内でドライバーにそのことを知らせて、白川郷ICで高速を降りてもらうことになります。
しかしこのトンネル内の「通行止」の表示、よく見ると実体がありません。標識のようにも思えますが、実は投影機でトンネルの壁面や路面に映されたものです。
装置の導入について、NEXCO中日本金沢支社の広報担当者は次のように話します。
「通行止めの情報は、道路情報板や特設情報板を用いて提供しておりますが、東海北陸道下りの白川郷ICは、出口手前がトンネル区間です。
そのため、エアー式遮断機(編注:遠隔操作で円筒型バルーンを膨ませて道路をふさぐ簡易な規制装置)の稼働時は、通常の情報板表示を補助することを目的としてプロジェクターを用いてトンネル壁面と車線上に『通行止』の案内を投影して、この先の通行止めを案内しています。
トンネル壁面に1か所、車線上に2か所の計3か所で投影します。なお、これは(編注:法令に基づく道路標識ではなく)あくまで情報板の補助装置としての導入です」
ほかのトンネルでの展開について前出の担当者は、「『通行止』の表示は東海北陸道の飛騨トンネルのみですが、出口までの距離案内は新東名高速で実績があります」と話します。
新東名は、神奈川県の海老名南JCTから愛知県の豊田東JCTまでの約253kmを結ぶ高速道路です。このうち2022年4月に開通した伊勢原大山IC~新秦野IC間のトンネルにプロジェクションマッピングが導入され、「出口1.5km」などの白く大きい文字が天井壁面に投影されています。
高速道路の標識というと緑地に白文字が標準スタイルですが、新たに導入されたユニークな仕掛けに、導入当時ユーザーからは「走ってて『おっ?!』ってなった」「距離が投影されててびっくり」という反応が多数寄せられていました。
今回飛騨トンネルに導入された仕掛けの効果について、前出の担当者は以下のように話します。
「設置後、大雪による通行止め事象が発生していないため、その場合の効果は確認できておりません。
一方、事故や工事による通行止め時には使用しており、表示を確認されたお客さま車両は、白川郷ICにて流出していただいております。
通常の情報板によるご案内やエアー遮断機の稼動も同時に行っていますが、一定の効果があると考えております」
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飛騨トンネルに導入された通行止め案内の投影は、雪の降るこれからの季節が本来の効果が発揮される時期といえます。導入された新たな仕掛けが今後どのような効果をもたらすのか期待されます。
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