なぜ日産に「コンパクトミニバン」存在しない? 超“売れ筋”ジャンルだけど“マツダ”も不在!? 今後登場する可能性はあるのか
今、日本で売れ筋ジャンルのひとつが“コンパクトミニバン”です。小さいのにボディは箱型で室内が広く、そして後席ドアがスライド式。販売ランキングで上位常連の車種が多い分野ですが、日産には現在“コンパクトミニバン”に該当するモデルが存在していません。なぜなのでしょうか。
人気のジャンル“コンパクトミニバン”…だけど日産はなぜ不在?
今、日本で売れ筋ジャンルのひとつが「コンパクトミニバン」と「コンパクトハイトワゴン」です(以下、コンパクトミニバン)。小さいのにボディは箱型で室内が広く、そして後席ドアがスライド式。コンパクトなサイズのため、3列シート車に加え、2列シート車のみのケースもあります。
その代表格と言えるのが、昨年(2022年)の年間販売ランキングで4位となったトヨタの「ルーミー」。そして、6位のホンダ「フリード」、8位のトヨタ「シエンタ」も同じコンパクトミニバンです。このように販売ベスト10のうち、3台をコンパクトなスライドドア車が占めているのです。
ちなみに、日本で一番に売れているクルマは、ホンダの「N-BOX」。軽自動車ですが、小さな箱型ボディにスライドドアを持つ、これも立派なコンパクトミニバンの一種といって良いでしょう。
軽自動車は、最近特にスライドドアを持つジャンル(軽自動車では「スーパーハイトワゴン」と呼ぶ)が大人気。販売ランキング1位「N-BOX」に続く2位のダイハツ「タント」、3位のスズキ「スペーシア」といったベスト3がすべてスライドドア付きのコンパクトミニバンになっています。
また登録車でも、ランキング外には、スズキ「ソリオ/ソリオバンディット」、ダイハツは「トール」というコンパクトミニバンが存在しています。ダイハツの「トール」は、OEMでトヨタとスバルに供給されており、トヨタではルーミー、スバルでは「ジャスティ」の名前で販売されています。
またスズキ「ソリオ」は三菱自動車にOEM供給されており、三菱自動車では「デリカD:2」と名乗っています。
つまり、トヨタ、ホンダ、ダイハツ、スズキ、スバル、三菱自動車では、コンパクトミニバンが売られているのです。では、残りの自動車メーカーとなる、マツダと日産はどうなっているのでしょうか?
まず、マツダは、「ミニバン」は「人馬一体の走り」というブランドイメージにあわないということで、現状ではそもそもスライドドア車を乗用車にラインナップしていません。かつて販売されていた「MPV」や「ビアンテ」といったミニバンの代わりに、ファミリーユースには3列シートのSUV「CX-8」を提案しています。
ブランドイメージのために、コンパクトミニバンという売れ筋に手を出さずに我慢しているという状況です。
そして、最後の日産。実のところ、日産にとってミニバンは得意ジャンルのひとつです。
ミッドサイズのミニバンの「セレナ」は稼ぎ頭ですし、Lサイズミニバンのブームを生み出した「エルグランド」も健在。軽自動車では、「ルークス」というスライドドアのスーパーハイトワゴンを販売しています。
しかし、どういう訳か、普通乗用車のコンパクトなミニバンだけ、すっぽりと抜け落ちているというのが日産です。
日産はミニバンの先駆者です。どこよりも真っ先にスライドドア、3列シートの小型ミニバンを販売していました。1500cc,1800ccで、7人と8人乗りで4160mm、自転車も立てたまま2台乗せることができました。その後、三菱がシャリオを販売しました。この初代日産プレーリーはちょうど1トンという軽量で燃費もよく、きびきび走りました。キャンプに最高で、日産の数少ない名車です。