なぜ「100万円以下」の軽自動車激減? 小型車と立ち位置逆転? 「安いクルマ」の代名詞が過去の物となった訳
軽自動車が高くなった理由は「グローバルモデル化」?
軽自動車の高額化には、コンパクトカーの置かれている状況も大きく関係しています。
2000年代前半の頃の国産コンパクトカーの多くは、日本市場をメインターゲットとしていたことから、日本のユーザーのニーズを最優先して開発されていました。
実際、当時のヴィッツ(ヤリス)やフィットは軽自動車をしのぐ販売台数を誇っており、まさに日本のユーザーのためのクルマとなっていました。
しかし、2000年代後半以降になると、多くの自動車メーカーがグローバルモデルとして同じ車種を多くの市場で販売するようになり、ヴィッツ(ヤリス)やフィットもグローバルモデルへと変貌を遂げることになります。
グローバルモデル化には多くのメリットがある反面、特定の市場のニーズを反映させづらいという側面もあります。
その結果、コンパクトカーの多くは、かつてのように日本のユーザーだけを最優先させることが難しくなってしまいました。
たとえば、日本の道路環境では全幅の大きなクルマはあまり好まれませんが、海外市場では居住性や走行安定性の観点から一定の全幅がある方が好まれます。
この場合、販売台数の多い海外市場のニーズが優先されてしまうことは避けられないのが実情です。
一方、軽自動車はそもそも日本独自の規格であるため、日本のユーザーのニーズを満たすことに専念することができます。
こうした事情もあり、自動車メーカー各社はかつてのコンパクトカーに求められていた要素、つまり必要十分な機能や走行性能を軽自動車へと盛り込むようになりました。
そうして誕生したのが、2011年に登場した初代N-BOXです。
コンパクトカーと同等以上の機能を備えていたことに加え、高速道路でも非力さを感じさせないターボエンジンを搭載し、さらには圧倒的な室内空間を持っていたN-BOXは、当時の軽自動車としては高額であったにもかかわらず、またたく間にベストセラーモデルへとなりました。
現在は3代目へのフルモデルチェンジを控えているN-BOXですが、すでに公開されている情報によると、これまで以上に充実した機能や装備を備えているなど、高額路線が継続される見込みです。
このように考えると、「軽自動車は安い」というのはすでに過去のイメージなのかもしれません。
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初代N-BOXの登場から10年以上が経過した現在、日本の新車のおよそ4割が軽自動車となっています。
これを日本の貧困化の象徴とする声もありますが、売れ筋の軽自動車の多くが高額なスーパーハイトワゴンであることを考えると、そうした指摘は必ずしも正しくありません。
むしろ、現在の軽自動車が、日本のユーザーにマッチしたクルマとなっていることの証左であると言えそうです。
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