待望の日産「フェアレディZ NISMO」登場もATのみ? MT無しは残念!? 2ペダルじゃなきゃダメだったわけ

日産「フェアレディZ」に高性能仕様の「NISMO」が追加されました。この「フェアレディZ NISMO」にMT車は設定されず、AT車のみです。なぜそのような仕様になったのでしょうか。

「えっ、MTないの!?」NISMO登場も残念がる声も

 日産は2023年8月1日、「フェアレディZ 2024年モデル」の発表と同時に、新たに「フェアレディZ NISMO」を追加で設定しました。
 
 現行型のフェアレディZといえば、この時代にハイパワー+6速MTという選択肢を残してくれたことが話題となりました。

標準モデルよりパワフルになった日産新型「フェアレディZ NISMO」
標準モデルよりパワフルになった日産新型「フェアレディZ NISMO」

 しかし、今回発表された新型フェアレディZ NISMOはATのみの設定となっています。これにはどのような理由があるのでしょうか。

 新型フェアレディZ NISMOはNISMO専用チューニングが各部に施されており、エンジンにも手が加えられています。最高出力はノーマルの405馬力から420馬力に、最大トルクも475Nmから520Nmへと引き上げられました。

 この新型フェアレディZ NISMOは「Buddy on truck」(トラックでの相棒)というコンセプトのもと、そのコンセプトを体現するために開発されました。

 ここでのトラックというのはサーキットのことを指していることから、変速のタイムラグがMTよりも早い9速ATのみの設定となっているのです。

「単純にトランスミッションの選択肢を絞って、コストを削減しているだけ」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

 速さにこだわったということは、ATのセッティングが新型フェアレディZ NISMO専用チューニングとなったことからも見て取れます。

 専用チューニングにより、ノーマルのエンジンに比べてハイパワー&ハイトルクになった新型フェアレディZ NISMOは、そのパワーとトルクを受け止めるためにクラッチプレートの枚数を増やし、熱容量を大きくしています。

 また、シフトレスポンスを高めるためにクラッチストロークも短縮。これによりシフトスピードの向上を実現しました。耐久性もドライバーの意思に対する反応も、どちらも高められたスポーツATとなっているのです。

 そして、新型フェアレディZ NISIMOには、ノーマルモデルには設定されていない「SPORT+」モードが設定されています。

 このモードでは専用のバルブタイミング、スロットル、トランスミッション制御がおこなわれ、シフトダウンのタイミングやコーナリング時のギア保持などを、マニュアルモードで走行する熟練ドライバーのようなシフトチェンジを実現しているのです。

 より速く、そしてハンドリングを集中して楽しむのに適したモードといえます。

 新型フェアレディZ NISMOにMTの設定がないことに残念がる声も見られますが、フェアレディZをベースに、メーカーが考えたベストチューニングということを考えると、ベースにはAT車のほうが適していたということでしょう。

 むしろ、MTを選ぶ人は「NISMOを超えるオレの考えたベストチューニング」を実現するという考え方の人が多いのではないでしょうか。

 メーカーが考えたベストチューニングを楽しむか、それともノーマルのMTモデルを買って、NISMOとの差額をチューニング費用として楽しむか、フェアレディZのカーライフにはさまざまな選択肢があると捉えるべきでしょう。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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