なぜ日産は「GT-R」を残し続けるのか 16年目でも存在感あるモデル… 次期型はどうなる?

「GT-R」の正式名称から見る、その存在意義

 東京モーターショー2007でGT−Rが世界初公開されたとき、日産はGT−Rを「『誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる』というコンセプトを具現化した新次元のマルチパフォーマンス・スーパーカー」と称しました。

 その言葉どおり、GT-Rは3.8リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力480PS、最高速度320km/hオーバーという圧倒的なパフォーマンスを持ち、それでいて777万円からという手の届きやすい価格で販売されました。

 実は、GT-Rは世界初公開のおよそ1か月前から、当時としては異例となる特設サイトによる情報公開が行なわれていました。

東京モーターショー2007の発表前に公開された「NISSAN GT-R」
東京モーターショー2007の発表前に公開された「NISSAN GT-R」

 その際、日産はGT-Rの名称について次のように説明しています。

「名称については、これまで『スカイラインGT-R』のネーミングで親しまれてきたが、新型車は歴代の『スカイラインGT-R』の血統を受け継ぎながらも、日産自動車の持てる最高の技術をつぎこんだ同社を代表するモデルとして『日産』の名を冠し、『NISSAN GT-R』とした。

 なお、本名称は同モデルのグローバル導入も視野に入れて決定されたものである」

 ここからわかるように、GT-Rは「NISSAN GT-R」を正式名称としています。

 そんなGT-Rですが当時の開発者たちは、年次改良を前提としてGT−Rを設計していたと言います。

 それはつまり、短いサイクルでのフルモデルチェンジが難しいことを理解していたことを意味しています。

 そういう意味で、GT-Rは当初から日産にとってのイメージリーダーとしての役割が強いモデルでした。

 ただ、イメージリーダーとなるモデルは、単に高いパフォーマンスを持っていれば良いというものではありません。

 高いパフォーマンスはもちろんのこと、それを裏付けるだけの確固たる歴史が必要です。

 その点、「GT-R」という名称には十分すぎるほどの歴史があります。

 逆に言えば、GT-R以上に、日産のイメージリーダーとしての役割を果たせるモデルはありません。

 これこそが、今日までGT‐Rが存続している最大にして唯一の理由と言えます。

※ ※ ※

 スーパースポーツカーでも電動化が避けられない現代では、純ガソリンエンジン車であるGT-Rはこれまでよりも強い逆風にさらされることになります。

 実際、一部の地域では騒音規制の影響などからGT-Rの販売を終了しています。

 さらに、日産は自動車メーカーのなかでも最も電動化に積極的なメーカーのひとつであることを考えると、GT-Rも遅かれ早かれ電動化することは確実です。

 ただ、GT-Rの本質が「日産自動車の持てる最高の技術をつぎこんだ同社を代表するモデル」であるならば、電動化されたとしてもそれがGT-Rであることには変わりません。

 多くの人々に衝撃を与えたGT-Rの次期型に対し、世界が注目しています。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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