なぜトヨタ「ノアヴォク」ひとり勝ち? 「Mサイズミニバン」各社ほぼ同時期に全面刷新も「圧倒的1位」の理由は?
ノアヴォクが売れてる理由はほかにもある?
ノア/ヴォクシーが好調な理由には、トヨタの販売店の数の多さがあります。
今はトヨタの全店で、ノアとヴォクシーを含めた全車種を購入でき、その店舗数は全国に約4600箇所あります。
ホンダの約2200箇所、日産の約2100箇所と比べると、販売網は2倍以上となり、そのためノアとヴォクシーは売れ行きも増やしやすいです。
単純にいえば、1店舗当たりの販売台数が日産やホンダと同じでも、トヨタなら登録台数が2倍に達するのです。
そんなトヨタは小型車や普通車がラインナップの中心となっており、ノア/ヴォクシーも販売しやすい点も挙げられます。
2023年1月から7月に国内で新車として販売されたクルマのうち、トヨタ車の比率は36%でした(レクサスを含む)。
ところが軽自動車を除いた小型/普通車に限ると、トヨタ比率は55%に急増します。トヨタは小型/普通車が中心のメーカーで、軽自動車は一部のOEMに限られるため、小型/普通車の販売ではトヨタが過半数を占めるのです。
一方、ホンダでは、国内で売られる新車の約40%が軽自動車の「N-BOX」で占められます。「N-WGN」なども含めた軽自動車全体では50%を超えており、そのために今はホンダのブランドイメージが「背の高い小さなクルマを造るメーカー」になりました。
なお、N-BOXの次に国内販売の好調なホンダ車は「フリード」です。発売から約7年を経過したフリードが、ステップワゴンや「フィット」「ヴェゼル」などよりも多く売られている理由は、今のホンダのブランドイメージに合っているからだといえるでしょう。
つまりステップワゴンは、今のホンダ車のイメージでは大きすぎるのです。「ホンダでミニバンを買うなら、ステップワゴンではなく小さなフリード。大きなミニバンならトヨタか日産」とユーザーが感じているというわけです。
日産は、ホンダほど軽自動車比率は高くありませんが、それでも国内で新車として売られる日産車の40%を占めます。セレナは日産の小型/普通車では登録台数が多い部類に入りますが、前述のようにノア/ヴォクシーには及びません。
そして、ノア/ヴォクシーは先代型の販売も好調で乗り替え需要があります。
今から5年前の2018年には、先代型のノア/ヴォクシーが売られていました。この年の登録台数を1か平均で見ると、ヴォクシーが7563台、ノアは4727台、セレナはe-POWERの追加で8322台、ステップワゴンは4739台でした。
このようにノア/ヴォクシーは先代型の販売も堅調で、乗り替えをするユーザーも多く、そこに先に挙げたようなさまざまな要因が加わり、現行モデルは売れ行きも増えました。
ノア/ヴォクシーは複数の理由の上に成り立つ人気車ですから、今後も堅調に売れ続けるでしょう。ただし先代セレナが意外に好調だったことからもわかる通り、ライバル車にも挽回のチャンスは十分にあるといえそうです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
このご時世、納期無視で何いってんの?体力差でしょ。ノアヴォクがそこまで魅力があるようにも見えんし。
ノア・ヴォクの方が納期長いようですが…魅力が無いなら納期の短いセレナ・ステップに流れそうに思いました。