えっ…「スカイラインNISMO」は日本で「420馬力」発揮出来ない? 「オクタン価の謎」でカタログ数値未満の可能性が…どういうこと?

2023年8月8日に日産は「スカイラインNISMO」と「スカイライン NISMO Limited」を発表しました。台数限定となるこのモデルでは最高出力を420馬力に向上させたことが話題ですが、日本でこの馬力は出せるのでしょうか。

420馬力を誇る「スカイラインNISMO」だが…日本でその数値は出せるのか

 日産は「スカイライン NISMO」を2023年秋に発売する。
 
 専用チューニングにより最高出力を405馬力から420馬力に向上させたことが話題だが、日本でこの馬力は出せるのだろうか。

420馬力が自慢の「スカイラインNISMO」だが…日本ではフルパワーを出せないというのは本当?
420馬力が自慢の「スカイラインNISMO」だが…日本ではフルパワーを出せないというのは本当?

 420馬力と「スカイライン400R」より15馬力もパワフルなエンジンを売りにする「スカイラインNISMO」は、100オクタンのハイオクでコンピュターの燃調を行ったという。

 日本のハイオクはJISだと「96オクタン以上」となっている。

 もしJIS最小限の96オクタンを入れて走らせたらどうなるだろうのか。

 100オクタンでセットアップしたエンジンなら、確実にパワーダウンすると思う。

 エンジンによってもパワーダウンの状況は違う。

 私(国沢光宏)の場合、スバル「インプレッサWRX」などに搭載されていたEJ20(2リッター280馬力)なら豊富な経験値を持っている。

 ラリーに使うEJ20、モーテックと呼ばれる競技用のECUを使う。

 当時、日本で販売されているハイオクは99オクタンくらいあったようだが、一方でタイで販売されているハイオクは96オクタンくらいしかない。

 日本のガソリンでセットアップしたモーテックの状態でタイのハイオクを入れるとまともに走らなかったです。フルブースト領域になるとノッキングしちゃいます。

 その対策として点火時期を遅らせてパワーを落とすしかありませんでした。

 本来なら600Nmくらい出る最大トルクが、550Nm以下になってしまうほどです。

 ちなみに市販車だとノッキングを検知したら、自動的に点火時期を遅らせる仕様になっており、これを「リタード」と呼び。

 だからこそハイオク仕様にレギュラーを入れるとパワーが出ないということになる。

 さて今回のスカイラインNISMOは、100オクタンでセットアップしての420馬力である。

 ここまで読んで「日産はどうやって100オクタンのハイオクを入手しているのか?」と思うことだろう。

 早速NISMOで最もエンジン開発に精通している知り合いに聞いてみた。

 すると「開発用のガソリンとしてNSGP100なるリサーチオクタン100のガソリンが入手可能です」とのこと。

 続けて「通常のスタンドでは元売りからも流通過程で混ざるのを避けられないので98オクタン程度で販売されていると考えます」と。

 後で説明するが、ガソリンスタンドで販売しているハイオクのオクタン価は96オクタン以上だとは思いますが、詳細は明らかになっていない。

 また前出の知り合いは次のように話している。

「エンジンはノック制御が作動しておりますので適合100オクタンだとオクタン価低ければパワーダウンします。

 とはいえインタークーラーの冷却性能などにより加速時と定常時でノック発生が変わります。

 98オクタンで100オクタン適合と同じ加速出力を発生できる可能性もあります。

 1度シャシダイナモで違いを測ってみると差がわかりやすいと思います」

 まとめると「100オクタン仕様で開発したエンジンも条件によっては98オクタンで大丈夫な時がありますね」というもの。

 100歩譲って98オクタンのハイオクが入手出来るのなら、冬場など気温低い時はインタークーラーで吸気温度を下げられるから420馬力出る可能性あるのだと思います。

 でもJISギリギリの96オクタンだとどうか。前出EJ20だと簡単に10%出力とトルクが落ちました。

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