スバルが電動化を急加速!? 「新型BEV」28年末までに7車種投入へ! 思い切って方向転換する事情とは

「スバルらしさ」BEVでどう実現する?

 このように、スバルのBEVシフトがこれから一気に進むことが確実になったわけですが、果たして「スバルらしいBEV」とはどのようなクルマになるのでしょうか。

 スバル車の特徴であり魅力といえば、低重心の水平対向エンジンやシンメトリカルAWD、先進安全機能のアイサイトなどがあります。

2026年末までに投入予定の「謎SUV」(画像:スバル「2023年3月期 通期連結業績」発表資料)
2026年末までに投入予定の「謎SUV」(画像:スバル「2023年3月期 通期連結業績」発表資料)

 一方のBEVは電池を床下に置くレイアウトが主流のため、そもそも低重心なクルマです。また、モーターの配置によって四駆を設定することはガソリン車などに比べると、比較的容易です。

 つまり、水平対向エンジンを特徴とするスバルの優位性は相対的に低くなるかもしれません。

 その上で、大崎社長は「モーター制御技術にはスバルの知見が大きく役立つ」として「スバルらしいBEVを作っていく」と断言しました。

 そうした力強い言葉を聞いても、今回の記者会見に参加した筆者(桃田健史)としては「スバルらしいBEV」の姿と形、そして走り味がまだはっきりと想像できませんでした。

 現在スバルのBEVとして販売されている「ソルテラ」はトヨタ主導での製品企画で生まれた「bZ4X」の兄弟車であり、その縛りのなかで開発陣は「スバルらしさ」を模索してきました。

 しかし、それは誰が乗っても素直に「スバルらしいBEV」と言い切れるレベルにはまだ達していないと思うからです。

 スバル側にも、ソルテラを出発点として「スバルらしいBEV」を目指す険しい旅路が始まったという認識があります。その上で、スバルとしては先行き不透明なBEV市場において、柔軟かつ勝負どころでは一気に動けるBEVづくり体制の構築を急いでいるところです。

 例えば、トヨタとのBEVにおける協調領域と競争領域を今後、さらに明確化されるでしょう。

 また、トヨタとの協業とは別枠で、先に発表があったパナソニックエナジーからの円筒型リチウムイオン電池の採用など、スバル独自のBEVに向けた動きも加速します。

 スバルは今、同社史上最大の分岐点に立っていることは間違いありません。日本のみならず、グローバルでスバル車を愛する人たちが心から歓迎できる「スバルらしいBEV」の登場を大いに期待したいところです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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