日産が「4シーター高級クーペ」披露してた!? 「豪華内装」に「超ハイテク技術」採用! 未来を見据えた「GTクーペ」が凄かった
さまざまなクルマが出展されてきた「東京モーターショー」は今年から「ジャパンモビリティショー」へと名称が変更となります。そんな東京モーターショーでも、バブル崩壊後の1993年に出展された日産「AP-X」を紹介します。
幻に終わった高級GTクーペ「AP-X」とは
国内最大の自動車展示会「東京モーターショー」ではこれまで、さまざまな新型車やコンセプトカーが発表されました。次回の開催は2023年10月を予定していますが、新たに「ジャパンモビリティショー」として生まれ変わります。
そんな東京モーターショーのなかでも、ちょうど30年前となる1993年の第30回で日産が出展した「AP-X(エーピー エックス)」を紹介します。
1993年10月22日から11月5日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で第30回東京モーターショーが開催されました。
ちょうど30年前はレインボーブリッジが開通した年で、バブル崩壊後の長期不況のなかであったのにも関わらず、全出品台数の3分の1が参考出品車として新時代を匂わせるコンセプトカーも多く登場していました。
日産では、2台のコンセプトカーを含む計11台の参考出品車を展示。そのなかの1台に4人乗り3ドアハッチバッククーペ、AP-Xを公開しました。
AP-Xのコンセプトについて日産は、「スポーツカーが本来持っている走りの喜びや高揚感と、地球環境保全、安全性の向上といった社会的な要求との両立」と説明しています。
デザインを担当したのは数多くの名車を手掛けるイタリアのデザインスタジオ「ベルトーネ」でチーフデザイナーを務めていたマルチェロ・ガンディーニ氏。
エクステリアは低いノーズに広いグラスエリア、リアまで流れるような曲線的なボディを特徴としています。
特にフロンドドアガラスはルーフ付近まで広がる大面積なもので、トヨタ「セラ」やスバル「アルシオーネSUV」をイメージさせます。
フロントはボンネット先端に設けられた窪みのなか片側3連の丸いヘッドライトを埋め込んだ独特なデザインを採用。
サイドは大きなディスクに覆われたエアロタイプのホイールが目を引き、フロントからテールにかけて腰高になっていることで、スピード感のある三角形状です。
さらに、ガンディーニ氏が手掛けるクルマに共通する、斜め上部に向かうリアホイールアーチのデザインも取り入れられています。
クオーターウインドウは低く、大きなテールゲートは当時の「フェアレディZ(Z32型)」を彷彿とさせるデザインを持ちます。
リアはフェンダーのタイヤハウスから連続した真一文字デザインのテールランプを装備し、下部には4本出しのマフラーを備え、流麗さとワイド&ローを両立。
適度な緊張感を与えたというインテリアはベージュを基調とし、ヘッドレスト一体形状のハイバック型パワーシートにはステッチとブルーのパイピングを施すなど、高級GT(グランツーリスモ)クーペのような仕上がりです。
インパネにはナビゲーションシステムが搭載されているほか、メーター左右を覆うように設けられたエアコンスイッチやオーディオコントロールスイッチは「スカイライン(R32型)」との共通性を感じさせます。
パワートレインは高い走行性能と燃費を実現するという、3リッターV型6気筒「VQ-Xコンセプトエンジン」に、後に「セドリック」「グロリア」(Y34型)とスカイライン(V35型)にも活かされた「トロイダルCVT」を採用。
先進運転支援システムも多くが盛り込まれ、側後方障害物警報システムや居眠り運転警報、ヘッドアップディスプレイに加え、斬新なホログラム式ハイマウントストップランプを採用するなど、日産の技術の粋を集めた意欲的なものでした。
新時代の高級GTクーペ登場を予感させるAP-Xでしたが、第30回東京モーターショーの後、直接的な市販モデルは登場しませんでした。
いっぽうで、VQエンジンやトロイダルCVTが市販車に搭載された上に、後側方警戒レーダーやヘッドアップディスプレイなどは30年以上たった今、多くの日産車に採用されており、当時の発想や技術は現代に合わせてブラッシュアップされ続けています。
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このAP-Xのように市販化が叶わなかったものの、後に登場する市販車に一部の機能やデザインが活かされているケースも数多く存在します。
59年ぶりに名称が変更されて新たに生まれ変わるジャパンモビリティショーでは、新時代のクルマへ大きな変化をもたらすコンセプトカーの登場に、ますます期待が膨らむばかりです。
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