このオートライトについては、便利でいいと感じているドライバーも多い一方で、SNSなどでは反対意見も散見されます。

　例えば「不意に点灯するのがスマートじゃない」という意見や、「まだ明るいのでつける必要がないのに、勝手に点灯するのがイラッとくる」というもの、また「まだ周りのクルマがつけていないのに、自分のクルマだけ点灯するのが許せない」など、あまり良くない印象を持っているドライバーも多いようです。

　しかしこうした意見には、大きな誤解があると筆者（河馬兎）は考えます。

　ヘッドライトの点灯は、自分の進路を照らすためだけではなく、周りのクルマや歩行者、自転車に、自車の存在を知らせるために行うものです。

　夕暮れ時に差し掛かったら、全車が同時に点灯させないと意味がありません。

　もし1台だけヘッドライト未点灯の状態で走っていると、周囲から気付かれにくくなり、危険度はさらに高まってしまいます。

　しかも、「明るい、暗い」の感覚は、年齢や視力、ドライバーごとに変わります。ドライバー個人の感覚で、ヘッドライトのON／OFFを決めているのでは、すでに遅い可能性があるのです。

　そのため、2020年4月以降の新保安基準に対応したクルマは、走行中、一定の暗さになると強制的に点灯し、ドライバーが手動で消灯できないようになっています。

　ただし、クルマが駐停車状態の場合には消灯が可能です（走行を始めると自動点灯します）。

　メーカーごとにバラバラだった、点灯時の明るさや応答時間、消灯のタイミングなども厳格に規定され、交通安全にとって理想的な「全車同時点灯」に近づくことができました。

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　筆者は先日、東京湾アクアラインの海底トンネル内を走行中に、無灯火のクルマが速いスピードで後ろから近づいてきて、「ぞっ！」とする経験をしました。

　ドライバーが早めのヘッドライト点灯を心がけることで、歩行者や周囲のクルマにとって、より安全な交通を実現することができます。

　原理原則である「ヘッドライトは周囲の安全のため」ということを、忘れないようにしたいものです。