昔は大きかった「車のバンパー」! 巨大化したのはアメリカの影響大!? 無骨な「5マイルバンパー」とは
前後からの衝撃を守ってくれるクルマの「バンパー」ですが、近年すっかり車体のデザインと一体化しています。しかしかつては「5マイルバンパー」と呼ばれる巨大なものが付いていた時代がありましたが、その5マイルバンパーとは何だったのでしょうか。
1972年の法改正で誕生した巨大な「5マイルバンパー」
最近の流麗なデザインのクルマでは、すっかり存在感が薄くなったバンパー。しかし1970年代のアメリカ車や、一部の国産車・欧州車には、見るからに頑丈そうなバンパーが装着されていました。
当時、なぜあれほど大きなバンパーが必要だったのでしょうか。
衝突などの衝撃を和らげるために、クルマの前後に装着されるバンパーは、デザインの発展とともに、現在ではボディの一部に組み込まれたような形状となっており、もはやどこまでが車体で、どこまでがバンパーなのかわからないほどに進化しています。
しかし、かつてのバンパーは「衝撃来るならドンと来い!」と言わんばかりの頑丈そうなカタチを持っていました。
なかでも1970年代から1980年代にかけてはその傾向が強く、特にアメリカ車のバンパーは、車体の大きさに負けないほどの存在感を放っていました。
昔のアメリカの映画で、劇中を走り回る現地のアメリカ車の前後に、巨大なメッキのバンパーが付いているのを見たことがある人も多いことでしょう。
しかも、その時代の国産車や欧州車にも、クルマ本体のデザインやサイズにそぐわない、大きなバンパーを備えていたクルマがありました。
ではなぜ当時は、そのようなバンパーが必要だったのでしょうか。
その答えが、「5マイルバンパー」です。
5マイルバンパーとは、読んで字のごとく時速5マイル(=時速8km/h)以下で単独衝突した際に、バンパーが衝撃を吸収するだけでなく、復元も求められたバンパーのこと。
1972年秋に改正されたアメリカの連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standard=FMVSS)により、それ以降にアメリカ(北米)で販売されるクルマには、このバンパーの装着が義務化されました。
衝突しても、車体の灯火類・ラジエター・給油装置・排気装置などに機能的な損傷させない性能が必須とされた5マイルバンパーは、要件を満たすため頑強で巨大となり、クルマのデザインを損なうことに。
バンパー自体が重かっただけでなく、車体との間に衝撃を吸収する油圧ダンパーをも備えていた5マイルバンパーは、車重の増加という弊害も生み出しました。
ではなぜ5マイルバンパーが義務化されたのでしょうか。
アメリカでは1960年代から1970年代初頭にかけ、ボディと調和したバンパーのデザインが普及したことにより、壁やポール、電柱、他車などへの低速度域での軽い衝突で、バンパーを傷つけるクルマが多くなりました。
その修理には保険が使われたために、保険会社の保険金支払い額が増加。その結果、5マイルバンパーの導入が決まったといいます。
しかしその「効果」は確かにあったようで、その後の調査研究では、バンパー関連の保険金請求額が大幅に下がったことが報告されています。
とはいえ、5マイルバンパーを持つクルマの見た目は、明らかに無骨でした。
あの頃の「取って付けた5マイルバンパー」といえば,レオーネグランダムでしょう.しかし同時期のエステートバン4WD・LGのそれは却ってワイルドな雰囲気になって恰好良かったですが.