「鬼教官」なぜ減った? 「罵倒」から「褒める」に変わった? 教習所の指導内容が変化した背景とは

減少する教習生が「優しい指導員」を増やした?

 全日本指定自動車教習所協会連合会によれば、全国の指定教習所の数は2022年末時点で1240所とされています。

 これらの教習所のほとんどは民間の企業によって経営されており、その運営資金の大部分は教習生が支払う教習料金によってまかなわれています。

 当然、運転免許取得者が増えれば増えるほど教習所の経営はうるおうわけですが、前述のとおり、すでに多くの人が運転免許を保有している現状があります。

 また、少子化が進む日本では、今後運転免許を取得しようとする人は年々少なくなることが予測されています。

 実際、指定教習所の卒業生は大きく減少しています。

 1991年のピーク時には261万2961人いた卒業生が、2022年には103万2911人と半分以下にまで落ち込んでいます。

 また、指定教習所の数自体もピーク時の1992年の1477所から200所以上も減少。

 その結果、現在では運転免許取得希望者を教習所が奪い合う構図となっています。

 そうなると、各教習所はサービスを強化するなどして新規の教習生の確保に努めることになります。

 指導員が厳しい指導を避けるようになったのも、そうした流れのなかにあると考えられます。つまり、「指導員が優しい」というのがひとつの付加価値となっているというわけです。

いまでは「褒めて伸ばす」方針が主流?
いまでは「褒めて伸ばす」方針が主流?

 逆に言えば、多くの教習所に教習生があふれていた時代は、そうした付加価値を与える必要がなかったため、厳しい指導を行なっているように見える指導員が多かったと考えられます。

 もちろん、教習所を取り巻くこうした事情に加えて、ハラスメントに対する理解が社会全体で進んだことや、インターネットやSNSの発達によって悪評が広まりやすくなったということも、優しい指導員が増えた理由のひとつと言えそうです。

※ ※ ※

 適切に「ほめる」ことが勉強や仕事の効率を高めることはよく知られており、それは運転免許の教習にも当てはまるようです。

 実際に、「ほめる教習」を実践したある教習所では卒業生の事故率が減少したと言います。

 一方、時に凶器ともなりうるクルマを走らせるということは、相応の責任と技術が問われることは言うまでもありません。

 優しい指導員が増えたとはいえ、各教習の合格基準自体が甘くなったわけではありません。これから教習を受けるユーザーは、その点に注意しましょう。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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